4/12「お墨付き」なし異例決算 東芝強まる不信 上場廃止 瀬戸際のまま【東京新聞・核心】

東芝の内部監査部は57人もいながら、どうして不正を見抜けなかったんだろう?

東芝の「監査委員会の委員長は社内取締役が務めてきた。
しかも、財務部門の責任者だった人物である。過去、社長の意向を踏まえ、各事業部門の不適切な会計処理を容認し、あるいは関与していた。
そればかりか、監査委員長になってから、会計処理に疑念を抱いた監査委員の一人が調査実施の申し入れを行ったにも関わらず、これを社長とともに無視した」んだそうな。
東芝事件の教訓 正しい監査委員会設置のススメ】より

不正を見抜けなかった監査法人は「賂を貰ってたんとちゃうか」とか新日本監査法人を疑われても仕方ない。

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「お墨付き」なし異例決算 東芝強まる不信

     上場廃止 瀬戸際のまま

2017年4月12日【東京新聞・核心】

東芝は十一日、遅れに遅れていた二〇一六年四~十二月期決算を監査法人から「適正」とする意見を付けない形で公表に踏み切った。上場企業が監査法人の「お墨付き」なしで決算を発表するのは異常事態。不信の拡大に歯止めはかからず、東芝は上場廃止へまた一歩追い込まれた。 (伊藤弘喜、中沢佳子)=1面参照

 ■決断

「これ以上、関係者に迷惑を掛けられない」「また延期しても結果が出ない」。東芝の綱川智社長は十一日の記者会見で、決算について監査法人の適正意見を得られないまま発表を挟めた理由の釈明に追われた。

東芝は二月十四日に決算発表を予定していたが、米原発子会社ウェスチングハウス・エレクトリック(WH)の幹部が損失を少なく見せようとした疑惑が浮上。調査のため、三月十四日までの延期が認められたが間に合わず、四月十一日まで再び延期していた。

疑惑は一五年末にWHが買収した米原発建設会社を巡る会計処理に関するもの。調査対象とする期間について、東芝は一六年四~十二月期で十分としたが、担当するPwCあらた監査法人は、さらにさかのぼって調べる必要性を主張。この対立が度重なる延期をもたらした。

決算発表の延期は関東財務局が認めさえすれば事実上、伺度でも可能だ。だが、東芝は監査法人の判断を覆すことを事実上、断念した。

 ■意見

これに対し、市場関係者は「近いうちに会社として存続できない状態に陥る可能性があるということだ」と厳しい見方だ。

監査法人はいわば財務の「お目付け役」。決算に盛り込まれる財務諸表が企業の状態を適正に示しているかどうかをチェックし、意見を表明する責任がある。監査意見には四種類あり、「適正」とする通常の意見から不適切な点があるとする「不適正」など幅がある。これは、東証や投資家が企業の健全性を判断する重要な指標となる。

今回PwCあらたが東芝の決算に付けた意見は「不表明」。意見を述べられないほど会計記録が不十分な場合に付き「この決算は信用できない」という意味合いを持つ。この意見を受けると、墓京証券取引所の上場廃止基準に抵触する恐れがある。過去にも不表明のまま決算発表した企業はあるが、その後、上場廃止となったり倒産したりしたケースが目立つ。

 ■混迷

PwCあらたが慎重になっていることには相応の理由がある。東芝の監査を一六年度から前任の新日本監査法人から引き継いだが、「新日本の二の舞いになりたくないとの思いがあるのだろう」と監査業界関係者は推測する。

新日本は一五年に発覚した東芝の不正会計を見抜けなかったとして、金融庁から約二十一億円の課徴金納付や一部業務停止などの命令を受けた。

東証は東芝の内部管理体制に問題があるとして上場廃止か維持か審査している最中だ。今回の監査法人の「ノー」は東証の判断にも影響を及ぼすとみられる。

頼みの綱は、稼ぎ頭の半導体メモリー事業の高値での売却。だが、期待通りの条件で売れるかどうかは不透明だ。名乗りを上げているのは台湾の鴻海精密工業や米国のウエスタンデジタルなど交渉が手ごわい海外勢のみ。複数の日本企業が「奉加帳」方式で出資する案も浮上しているが、東芝の社外取締役で経済同友会の小林喜光代表幹事は十一日の記者会見で「(実現は)非常に難しい」と述べている。混迷の出口は見えていないのが実情だ。

上場維持に時間稼ぎ

 東証「判断時期示せぬ」

東京証券取引所は、東芝が起こした不正会計問題を巡り、すでに上場維持の可否を審査をしている最中だ。十一日に監査法人のお墨付きがない決算を東芝が発表したことは、東証にとって新たな審査対象が増えただけで、東芝による最終判断までの時間稼ぎに近い。最終判断の時期について、東証は「いつまでに出す、という期限が示せない」としている。

東証は、東芝による過去の不正会計問題を受けて、二O一五年九月に上場廃止の可能性があることを投資家に知らせる「特設注意市場銘柄」に指定し、内部管理体制の改善度を審査している。東証が改善が見込めないと判断すれば、上場廃止になる。上場企業が開示する決算に監査法人が「不適正」や「不表明」の意見をつけ、東証が事実関係を調べたうえで「上場廃止にしなげれば市場の秩序を維持できない」と判断すれば、上場廃止となる。

上場維持の可否を巡る審査対象が増えたことに、市場関係者からは「これだげいろんな基準にひっかかる企業も珍しい。企業として厳しい状態だ」との声が出ている。     (中沢佳子)

記者会見に臨む東芝の綱川智社長=11日、東京都港区で

  決算に対する監査意見

① 無限定適正 企業会計の基準に従って、決算に問題がない場合

② 限定付き適正  一部に不適切な事項はあるが、それが決算全体に対してそれほど重要性が無い場合

③ 不適正 不適切な事項が見つかり、それが決算全体に重要な影響を与える場合

④ 不表明 重要な監査手続きが行えず、決算が適正か不適正かの意見表明ができない場合

※③④の場合は上場廃止基準に抵触する恐れがある。今回の東芝の決算は④

(図)東芝と監査法人の対立のイメージ

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東芝、承認なき決算発表 監査法人「存続に疑義」

2017年4月12日【東京新聞・経済】
http://www.tokyo-np.co.jp/article/economics/list/201704/CK2017041202000101.html

記者会見で頭を下げる東芝の綱川智社長=11日、東京都港区で(市川和宏撮影)
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経営再建中の東芝は十一日、二度にわたって延期していた二〇一六年四~十二月期連結決算を関東財務局に提出し、発表した。三度目の延期を回避するため、外部チェックを担う監査法人の承認が得られないまま、異例の公表に踏み切った。監査法人は東芝について、原発事業の損失などを理由に会社の存続に「重要な疑義」があると表明した。

上場企業の決算は、投資家の信用を確保するために、監査法人が「適正」との意見書を添付することが通例。東芝を担当するPwCあらた監査法人(PwC)は、適正かどうかの調査が「継続中」と、意見を表明しなかった。

決算に監査法人の「お墨付き」がつかない企業も公表はできるが、東京証券取引所の定めた上場廃止基準に抵触する恐れがある。東証は東芝による不正会計問題でも上場維持の可否を審査中で、相次ぐ事態に上場廃止の可能性が一段と高まった。

東芝の綱川智社長は十一日に東京都内の本社で記者会見し「(社内の)監査委員会からは延長してもこれ以上数字は変わらないと報告を受けており、投資家ら利害関係者への不利益を避けるためにも公表に踏み切った」と説明した。

東芝は、三月末に経営破綻した米原発子会社ウェスチングハウス・エレクトリック(WH)の前会長らが、一六年十~十二月期の損失を少なく見せるよう部下に圧力をかけた不正を二月に公表した。監査法人は以前から損失を認識していたとみて過去の決算を調査することを主張し、東芝と対立している。

PwCは東芝が発表した決算に対する報告書で、WHの破綻処理の行方しだいで東芝が負担する可能性のある支出などを指摘。東芝が発表した決算は「不確実性が反映されていない」と不満を表明した。

東芝が独自に発表した四~十二月期連結決算は売上高が前年同期比4・2%減の三兆八千四百六十八億円、純損失は五千三百二十五億円。一七年三月期の通期決算は予定通り五月中旬に発表すると説明した。

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