5/2「不安を感じるのは正常」 原発事故被災者 脳科学に基づき解説/科学ライター伊藤さん「復興ストレス」を出版/生物学的合理性を指摘【東京新聞・朝刊】

事務所の廊下を離れた給茶室で、誰かが合成洗剤のキャップをあけて使った匂いのせいで、目眩を起こして息が苦しい。死にそう。
高槻市に建設計画があるというなんちゃらくりえいととかいう産廃業者の特別管理産業廃棄物の焼却で、きっと私のような化学物質過敏症の患者は死ぬだろうと恐怖を感じるのは正常なことだと、本書を読めばわかると思う。
産廃焼却炉の煙で息が出来ないだろう恐怖は放射能汚染の恐怖と私にとっては同じだ。

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「不安を感じるのは正常」

 原発事故被災者 脳科学に基づき解説

科学ライター伊藤さん「復興ストレス」を出版

 生物学的合理性を指摘

2017年5月2日【東京新聞・朝刊】

東京電力福島第一原発故から六年たち被災者の気持ちが社会に届かなくなっている-。放射線の影響を語る「科学的」な説明だけでは、被災者が感じる不安に答えられない背景を、脳神経科学に基づいて解説する「復興ストレス」(彩流社)が出版された。著者の科学ライター・伊藤浩志さん(五六)=福島市在住=は記憶が風化する中、被災者が孤立感を深める事態を避けないと」と警鐘を鳴らす。(梅野光春)

この春、政府は福島県の四町村に出していた避難指示を一部を除き解除。同県も「除染が進み、食品の安全性も確保された」として、避難指示区域外から住まいを移した「自主避難者」への住宅無償提供を打ち切った。しかし同県によると、県外避難者の約八割が避難先での生活を選択。放射線の影響への不安が理由に挙がったという。

伊藤さんは「不安を感じるのは、正常なこと」と言う。同書では、人をはじめ動物が不安を感じる脳のメカニズムを解説。明確な危険がなくても「危なそう」と不安を感じたら避ける方が生存に有利-という選択を通じ、さまざまな動物が生き残ってきたことを示した。「社会調査で、『自主避難』をはじめ、被災者の不安には生物学的な合理性があることが裏付けられている」と説く。

「科学知識が欠けているから必要以上に不安になる」という政府側の見解などがもとで、被災者が不安を口にしにくくなった現状にも触れる。数字で割り切ろうとする科学的なものの見方は、脳科学的には、他人の痛みを感じにくくさせてしまう。そのため、被災者同士の連帯感が希薄になり、賠償金格差などによる分断を加速させている可能性があると指摘した。

その上で伊藤さんは「社会から孤立するとストレスから、心臓病やがんによる死亡率などが上がる。避難しているかどうかに関係なく支援を継続するなど、『分断』を防ぐ手段を講じるべきだ」と主張する。

伊藤さんは、時事通信社記者として臓器移植や遺伝子組み換え食品など科学技術が絡む社会問題を取材。その後、脳神経科学の研究に転じ、国立長寿医療研究センター(愛知県大府市)などで研究員を務めた。昨年五月から月刊誌「みすず」に連載した論文に加筆修正し、今年三月に「復興ストレス」を出版した。

同書では、低線量被ばくの健康への影響には未解明な部分が多いとしつつ、科学者が自分の考えに合わないデータを軽視してしまう傾向も示した。「読者に対し『科学との向き合い方を考えて』というメッセージも込めた」と伊藤さん。

「復興ストレス」は四六判、二百四ページで二千三百円(税抜き)。問い合わせは彩流社=電03(3234)5931=ヘ。

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