6/8東京新聞・中日新聞 プルトニウム内部被ばく 微量でも危険度高く 長期間 細胞に傷 がんリスク上昇【核心】と一面記事

26年間封印されていたのなら、ビニールが劣化しているだろうなんて想定できただろうに。といってももう遅い。

DTPA
http://www.weblio.jp/content/DTPA

最近は上牧の産廃焼却炉のせいで トキシック・エクイバレンツ がなじみの単位となっていたのに。
また ベクレルとシーベルト の世界になってしまった。

==================

プルトニウム内部被ばく 微量でも危険度高く

 長期間 細胞に傷 がんリスク上昇

2017年6月8日【東京新聞・核心】

茨城県の日本原子力研究開発機構「大洗研究開発センター」で、被ばく事故が起きた。放射性物質の量は、一番多い作業員で2万2000ベクレルと計測された。吸い込んだプルトニウムは、わずか0.01ミリグラムほどとみられる。目に見えるかどうか分からないぐらいのチリにすぎない。それでも、がんのリスクが上昇する被ばく量になる。 (吉田薫、永井理)

◆じわりじわり

プルトニウムは万年単位で、放射線の一種であるアルファ線を出し続け、ウランに変わる。アルファ線はガンマ線やベータ線より重く、遠くへは飛ばないが、近くの細胞を傷つける力が強い。吸い込むとやっかいだ。

安斎育郎・立命館大名教授は「体内には、食物に含まれるカリウム40など、常に四000ベクレルほどの放射性物質がある。だが、それらはアルファ線を出さない。プルトニウムの破壊力は大きい」とする。

原子力機構は、最初の一年間の被ばく量が一二O0ミリシーベルトになると、試算している。一000ミリシーベルト以上で、がんになる確率が上がるとされる。今回の被ばくはこの水準を大きく上回る。被ばく量は徐々に低下するものの、五十年間の合計は一二シーベルトになるという。

被ばく量が一000ミリシーベルトを超えると、急性の放射線障害が出る。しかし、今回は一度にそれだけの被ばくがあったのではない。長く、じわりじわりと体を傷つけるのが特徴だ。

広瀬勝己・上智大客員教授は「これまで国内で、このような量のプルトニウムを吸入した事故はない。がんが発生するかどうかは、長期にわたる確率的な現象なので、注意深く観察する必要がある」と話す。

 ◆治療の方法は

作業員は千葉市の放射線医学総合研究所で、吸入したプルトニウムを除去する手当てを受けた。投与されたのはDTPAという薬剤で、重金属をはさみのようにつかんで、体外に排出する作用がある。

血中にあるプルトニウムが、骨や肝臓に移行する前に点滴注射することで効果があり、今後の被ばく量も減らせる可能性がある。ただ、肺にとどまるプルトニウムに対しては、効果はないという。

同研究所で記者会見した明石真言・量子科学技術研究開発機構執行役は「精神的なケアも重要になる。負担が少ない検査や治療をしていかなくてはならない」と話した。

再発防止策は必須だ。原子力機構では作業員はマスクをしていたという。「普通の防護をしていれば、このような被ばくはしないはずだ。措置が十分だったのか、検討の余地があるだろう」と、広瀬客教授は話している。

 

被ばくの人体影響・どの程度危ないか(単位:ミリシーベルト)

10000 1999年臨界事故で死亡者が浴びた線量(10シーベルト前後)
1200  今回の被ばくの年間線量(最初の1年間)
1000  自覚症状が現れる可能性がある線量
100   これ以上で、がん確率が上昇
50    通常の職業被ばくの限度
20    地域の避難指示が出る線量
10    除染の中間目標値とされていた線量
5     放射線管理区域の年間目安
2     年間の自然放射線量
1     公衆の年間被ばく限度

 

 プルトニウム 

原子炉で燃料のウランが中性子を吸収してできる放射性物質。原発の燃料や核兵器の材料にもなる。代表的なプルトニウム239の半減期は約2万4千年と長く、人体への影響が極めて大きいアルファ線を放出する。鼻や口から吸引した場合、一部が肺に沈着、強い発がん性を示す。また、骨にとどまった場合は骨肉腫の原因になるという実験結果も出ている。

疫学データない

前川和彦・東京大名誉教授(被ばく医療) の話

プルトニウムによる内部被ばくの治療経験は、日本では非常に少ない。急性の健康影響はないと思う。肺洗浄という治療はされたことがなく、排出を促進する薬剤投与以外の方法は考えられない。茨城県東海村で2人が死亡した臨界事故は外部被ばくだった。広島と長崎の被爆疫学調査のデータはあるが、プルトニウム単独の内部被ばくの疫学データはない。プルトニウムを使う施設は再処理施設や研究所など特殊な場所で、治療の知見が少ないため、がんの確率がどれくらい上がるかも分からない。

(図)
外部被ばく
放射線物質

プルトニウムによる内部被ばく
プルトニウム吸引
アルファ線で細胞が傷つく

(写真)
記者会見する量子科学技術研究開発機構の明石真言執行役=7日、千葉市稲毛区で

 

 

作業員4人、内部被ばく プルトニウム 2.2万ベクレル最悪レベル

2017年6月8日 07時06分【東京新聞・社会】
http://www.tokyo-np.co.jp/s/article/2017060890070627.html

日本原子力研究開発機構「大洗研究開発センター」(茨城県大洗町)の燃料研究棟で作業員五人に放射性物質が付着した事故で、機構は七日、四人が内部被ばくしており、そのうち五十代の一人の肺から二万二〇〇〇ベクレルの放射性物質プルトニウム239が検出されたと発表した。ほかの三人もそれぞれ最大で一万四〇〇〇~五六〇〇ベクレルを検出。残りの一人も内部被ばくした疑いが濃厚としている。国内で過去最大級の内部被ばく事故となり、作業が適切に行われていたかなど、機構の安全管理体制が今後問われることとなる。

機構によると、五人は二十~五十代のいずれも男性で、うち二人は原子力機構の職員、三人は協力会社の従業員。五十代の作業員の被ばく線量は、今後五十年で一二シーベルトに達する可能性があるという。国の基準は放射性物質を取り扱う作業員らの被ばく線量限度を五年間で〇・一シーベルトと定めている。

五人はいずれも放射線医学総合研究所(放医研、千葉市)の医療施設に入院。搬送時点では何も症状は出ていないという。放医研の上部組織である量子科学技術研究開発機構は七日夕、記者会見し、明石真言(まこと)執行役は「(二万二〇〇〇ベクレルは)初めて見る数字だ。私たちが知っている内部被ばくのレベルの中では高い」と指摘。「内部被ばくで発がんのリスクが上がることは科学的にはっきりしている」としつつ、「過去の外国のケースを見ても急性の症状は出にくいため、もう少し様子を見る必要がある」と説明した。

事故は六日、同センターの燃料研究棟で核燃料物質の点検作業中に起こった。核燃料物質が入ったポリエチレン容器を収めた金属容器のふたを開けた時、ポリ容器を二重に包んでいたビニールが破裂。作業員たちは鼻から下を覆う半面マスクを着けていたが、飛散した粉末状の放射性物質を吸い込んだとみられる。

原子力規制委員会の田中俊一委員長は七日午後の定例会見で、原子力機構について「経営陣はもっと真剣に考えて、反省すべきだ」と批判。午前中の定例会では伴信彦委員が「半端な被ばく量ではない。命に関わることはないだろうが、事態は軽微ではない」と指摘した。原子力規制庁は機構から事故原因などの報告を受けて安全管理に問題がなかったかを調べる。

水戸労働基準監督署も六、七日の両日、立ち入り調査をした。

◆体の中から放射線浴びる

「内部被ばく」とは、空気や水、食品に混じった放射性物質を吸い込んだりして、体の中から放射線を浴びることをいう。

マスクの着用である程度は防げる。体内に取り込まれた放射性物質の一部は尿や便と一緒に自然と排出されるが、排出されなかったものは長期間、放射線を出し続けて臓器に影響を与え、がんや白血病になる危険性が高まる。物質によって体内でとどまりやすい場所が異なり、プルトニウムは肺、セシウムは筋肉や生殖腺、ヨウ素は甲状腺にたまりやすい。

国は、放射線作業に携わる人の被ばく量限度を、内部、外部合わせて五年間で〇・一シーベルト(一〇〇ミリシーベルト)とした上で、年間で五〇ミリシーベルトを超えてはならないと定めている。東京電力福島第一事故の対応にあたった作業員には、事故後一年間で、内部被ばく量だけで五九〇ミリシーベルトの人もいた。

<ベクレルとシーベルト> 放射線を放出する能力を放射能と呼び、その強さや量を「ベクレル」という単位で表す。放出された放射線を人間が浴びた際の影響の度合いを示す単位が「シーベルト」。ベクレルとシーベルトの関係は、電球の放つ「光の強さ」と、電球からの距離や障害物の有無に左右される「明るさ」にも例えられる。

(東京新聞)

 

原子力機構作業員4人内部被ばく 肺から最大2万2000ベクレル

2017年6月8日 朝刊【中日新聞・一面】
http://www.chunichi.co.jp/article/front/list/CK2017060802000060.html

写真

日本原子力研究開発機構の「大洗研究開発センター」(茨城県大洗町)で六日、男性作業員五人に放射性物質が付着した事故で、五十代の機構職員の肺から二万二〇〇〇ベクレルの放射性物質プルトニウム239が計測されたことが分かった。他の三人の肺からも最大で一万四〇〇〇~五六〇〇ベクレルが測定され、計四人が内部被ばくしていることが判明。残る一人も内部被ばくの疑いが濃厚としている。いずれも放射性物質を吸い込んだとみられる。機構によると、国内で前例のない高レベルの内部被ばく事故で、専門家は「発がんリスクが上がる」と述べた。

五人には特段の症状は出ていないが、放射性物質の体外排出を促す薬剤を投与された。放射線医学総合研究所(放医研、千葉市)の医療施設に搬送され、当面入院し、薬剤投与を続ける。原子力規制委員会は現地に保安検査官を派遣、保安規定違反の有無の確認を進めている。

機構は五十代職員の被ばく線量について、単純換算すれば今後五十年間で一二シーベルトに上るとみている。国の基準は、放射性物質を取り扱う原発作業員らの被ばく線量限度を五年で〇・一シーベルトと定めている。

放医研の上部組織、量子科学技術研究開発機構は七日記者会見し、五人のうち四人の露出していた皮膚に放射性物質が付着しており、除染したと明らかにした。明石真言(まこと)執行役は「発がんリスクが上がるというのが、今までの科学的知見の中で一番はっきりしている」と指摘。放射線防護が専門の伴信彦・原子力規制委員は七日の定例会合で「半端な被ばく量ではなく、事態は軽微ではない」と指摘した。

一方、水戸労働基準監督署も六~七日、立ち入り調査。茨城県も周辺八市町村とともに立ち入り調査した。

原子力機構によると、五十代職員が六日午前十一時十五分ごろ、専用の設備内で、プルトニウムやウランなどの粉末試料が入っていた金属製容器を点検のため開けた。その際、中のビニールバッグが破裂し、試料が漏れ出したとみられる。一万四〇〇〇ベクレルが計測された二十代の職員は脇で補助作業をし、残る三人は後方で待機していたという。五人は鼻と口を覆う半面マスクを着けていた。

広告
カテゴリー: 放射能汚染, 中日東京新聞・特報 タグ: , パーマリンク