6/14国会ってなんだ 不誠実な審議=国民への侮辱/「共謀罪」答弁ドタバタ・加計問題ウヤムヤ【東京新聞・こちら特報部】

6月14日18時半 総がかり実行委員会 「議員会館前抗議行動」に行きたいものだ。

共謀罪、深夜成立も視野 与党「中間報告」打診
http://www.chunichi.co.jp/s/article/2017061401001151.html
2017年6月14日 14時35分【共同通信】

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国会って何だ

不誠実な審議=国民への侮辱

「共謀罪」答弁ドタバタ・加計問題ウヤムヤ

2017年6月14日【東京新聞・こちら特報部】

審議をすればするほど疑問が増える「共謀罪」法案を、政府は数の力で押し通そうとしている。共謀罪法案への賛否以前に、粗雑な答弁で済ませる姿勢は深刻な問題だ。耳を疑う答弁は共謀罪法案の審議だけに限らない。「首相を侮辱している」と籠池泰典氏の証人喚問に踏み切った国会なのに、当の国会への侮蔑は放っておくのか。国会って何だ。笑われているのは誰だ。 (佐藤大、三沢典丈)

共謀罪法案をめぐる五月三十日の参院法務委員会の審議で、前代未聞の場面があった。

有田芳生議員(民進)がオウム真理教事件をひきあいに「組織的犯罪集団に一変する流れを誰が監視をして判断するのか」と安倍晋三首相にただしたときのことだ。

首相はこれに答えず、法務省の林真琴刑事局長を一方的に指名。「総理に聞いている」とやじが飛ぶ中、手を挙げて答弁しようとしたのが金田法相だ。それを安倍首相が慌てて制止。法相の左肩をがっちり押さえ付けたばかりか、右側に座っていた盛山正仁副大臣まで腕を伸ばして止めに入った。林局長は、そのまま答弁を続けた。

露骨な「法相封じ」の衝撃は大きい。高千穂大の五野井郁夫教授(政治学)は「どの国の議会でも、法案を提出する側が説明するのは当たり前。所管大臣の発言を首相が全力で止めるとは不思議な光景だ」とあきれる。「ほころびが出ないような説明ができないと内心では分かっているのだろう。『無理筋』の法案と重々承知していることが見えた場面だった」と皮肉る。

実際、共謀罪法案の答弁はこれまでも迷走を重ねてきた。金田法相は「私の頭脳ではちょっと対応できない」「告発された場合でも、嫌疑がなげれば捜査の対象にはなりません」などと珍答弁に終始。四月中旬に衆院法務委で審議が始まると、与党主導で林局長の常時出席を議決。全会一致で出席を決めてきた慣例を覆す異例の事態だったが、以降、林局長は委員会で政府側答弁の中心となっている。

今国会の粗雑な答弁は共謀罪法案の審議に限らない。

六日の参院内閣委では、加計学園問題をめぐり山本太郎議員(自由)が、文書ファイルなどの記録の公開を迫ったのに対し、山本幸三地方創生担当相は「今後の行政遂行に著しい支障を生じることになる」と拒否した。国会への文書提示を拒む理由として衝撃的な理由だけに、反発を広げている。

八日の参院農林水産委でも、森裕子議員(自由)が加計学園問題で、内閣府で今治市職員に面会したかどうか藤原豊審議官に「イエスかノーか」と尋ねたが、藤原審議官は「自分が今治市の方々にお会いしたかどうかも含めて今治市との面談は確認できていません」。自らの行動すら「未確認」という不思議な答弁を繰り返した。

五野井氏は「文書を公開するのは民主主義の基本。国防関連の文書すら黒塗りで出すのに、『行政に支障がある』と開き直るとはそれより重要な文書なのか」と批判。中身のない答弁を繰り返す閣僚らの姿勢に「官僚が仕えているのは国民のはずだ。国会で答弁をごまかそうとは、国民を侮辱している」と憤る。

 

丁寧に「理屈」尽くす場

首相自ら議論軽視

「ー強の緩みそのもの」

国会を侮る言動を率先するのが、安倍晋三首相だ。 二O二O年までに憲法九条を改正する考えを表明し、先月八日の衆院予算委で、野党から真意を問われた安倍首相は「自民党総裁としての考え方は読売新聞に相当詳しく書いてあるから、ぜひ熟読していただきたい」と発言。説明しようとすらしなかった。野党は「国会軽視だ」と猛反発。浜田靖一委員長(自民)も「不適切」と注意した。だが、安倍首相はその後も「(記事は)自民党総裁としてお答えしている」などと立場を一方的に使い分け、いまだに国会での説明はない。

そもそも安倍首相には、昨年五月の衆院予算委で「私は『立法府の長』」と発言した過去がある。もちろん「行政府の長」でしかなく、立法府たる国会で権限を振りかざすことなどできない。一昨年五月の衆院平和安全法制特別委では、辻元清美議員(民進)に「早く質問しろよ」と自らやじを飛ばし、「立法府に対する冒涜-ぼうとく-」と批判を浴び、陳謝に追い込まれた。

国会がここまで軽んじられていいのか。早稲田大の松園伸教授(英国近現代史)は「戦前の帝国議会では、斎藤隆夫が立憲政治家としての信念から『粛軍演説』で議会を軽視する軍部を批判するなど、今よりよほど機能していた」と嘆く。

同じ議員内閣制でも、英国議会はまるで異なるという。松園氏は「英国は、本会議で法案の実質審議を行う。その際、議長は与野党問わず、なるべく全員に発言の機会を与え、各政治家が自らの責任で意見を語る」と説く。もし、所属政党が支持する法案でも、おかしいと思えば、個人の判断で反対意見を主張することもあり、「党首脳はこうした自党からの反論を非常に恐れており、党大会で十分に納得させる必要がある。党レベルから民主主義が機能している」という。

松園氏は「日本の国会では、法案は大半の国民が知らないうちに委員会で決められ、本会議は儀礼化した討論と採決を行うだけ。あまりにも議論が軽々しく扱われている」と指摘する。

立命館大の小松浩教授(憲法)は「法案は政治家同士の討論で煮詰めていくべきもの。しかし、今の国会では、共謀罪について法相が説明できないからと、野党が求めてもいないのに官僚が回答する。しかも、説明責任が果たされないまま、強行採決で成立させ、それがルーティンにすらなっている。安倍一強体制のおごりや緩みそのもので、戦後、議会制度がここまで惨状を呈したことはない」とあきれる。

国会軽視の行き着くところはどこか。小松氏は「市民が街頭デモなどで直接民主主義に訴えるのも、国会が機能していないことの裏返し。いずれ国民が国会を見限れば、ファシズムが台頭してくる恐れがある」と警告する。

慶応大の坂井豊貴教授(社会選択理論)は「個人の決断とは違い、集団レベルの決定の場合、反対した人も、その決定に従わされるため、自己責任論は成り立ちようがない。だからこそ、皆が納得できる理屈が求められる。全員は無理でも、できるだけ多くの人が納得できるよう、理屈を丁寧に説明しなければならない」と、民主主義における説明責任の重要性を語る。「多数決はさまざまな欠陥があり、民主主義を守るため、その欠陥を補うさまざまな制度が世界中で模索されている。それなのに、多数決を金科玉条のように見なす姿勢自体、問題だ。多数決は、理屈で決着をつけられず、一定期間内に決めねばならないときに、やむなく使うものだ」

坂井氏は共謀罪について「政府・与党は法案の中身についてまともに回答していない。『理屈は無視して、とにかく多数決』なのだから、委員会や本会議の採決で成立しても民主主義とは言えない」と断じ、多数決よりも理屈を重視する視点を国民に求める。「多数派であっても理屈を伴わないなら、ゼロ人とカウントする。いくら審議時間を費やしても、理屈が説明できなければ、ゼロ時間と見なす。学者やメディアは、こうし子た視点から国会を批判すべきだ」

(((デスクメモ)))
国会審議を音読する活動を紹介したら、読者から「国会を笑いものにするな」とお叱りをいただいた。国会を尊ぶ気持ちには共感するが、笑いものにしているのはどっちか。法相が説明できない法案を国民に理解しろとはむちゃがすぎる。賛否を問えるレベルじゃないのは確かだ。(洋)  2017・6・14

13日、国会前で「共謀罪」法案に反対する市民団体「未来のための公共」メンバーら

5月30日の参院法務委で、答弁しようとする金田法相(前列右から2人目)を制止する安倍首相(同右端)ら=「参議院インターネット審議中継」から

参院法務委の散会を伝えられる金田法相(左端)。民進、共産両党は法相の問責決議案を提出した=13日午後、国会で

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