9/30「排除の論理」正しいの?野田、菅元首相に合流辞退促す「希望」 よみがえる21年前の民主党結党劇【東京新聞・特報】

ねぇ ターシャ夫人!「『原発ゼロ』なら誰でもいいです」なんて、言ってられなくなりましたわ。
嘉田由紀子まで『絶望の党』から出馬なんですって! いややね。

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「排除の論理」正しいの?

 野田、菅元首相に合流辞退促す「希望」

  よみがえる21年前の民主党結党劇

 排除された 武村氏「おもしろくない」

 排除した 鳩山由氏「好みでなく戦略」

2017年9月30日【東京新聞・こちら特報部】

 

新党「希望の党」の細野豪志元環境相が民進党との合流問題で、首相経験者の菅直人、野田佳彦両氏に参加辞退を促した。希望代表の小池百合子東京都知事も、改憲や安全保障法制に反対する候補者を排除する構えを見せている。思い出すのは21年前、当時流行語にもなった「排除の論理」だ。鳩山由紀夫元首相は、民進党の前身である民主党結党時、ともに新党さきがけをつくった武村正義元官房長官らの参加を拒んだ。「排除の論理」は今回の衆院選に何をもたらすのか。 (大村歩、池田悌一)

 

「私は新党に行きたいと思っていなかったし、行きたいと言ったこともないのに、向こうから先に『ご遠慮願いたい』と言われたわけ。そりゃ、おもしろくなかったよ」

二十九日、「こちら特報部」の電話取材に応じた武村氏はこう切り出した。

武村氏が「排除の論理」に遭ったのは一九九六年八月のこと。武村氏が代表を務めるさきがけと自民、社民両党は連立政権を組んでいたが、小選挙区比例代表並立制による初の衆院選が
目前に迫っていた。

さきがけと社民は、自民党と小沢一郎氏率いる新進党の二大政党の間で埋没が懸念されていた。そこでさきがけの鳩山、菅両氏らは、社民とさきがけ母体の新党づくりを活発化させた。だが、鳩山氏らは早い段階で武村氏と社民党党首の村山富市元首相の参加を拒否した。武村氏らは「排除の論理を取るべきではない」と激しく反発した。

ちなみに「排除の論理」は九六年の流行語大賞に選ばれている。
結局、鳩山氏は武村、村山両氏らと決別し、さきがけと社民の大多数がそれぞれ離党して鳩山新党、つまり民主党を結成した。

武村氏は「鳩山さんは理由をはっきり言わなかった。理由があればまだしもね」と前置きした上で、「鳩山新党ということで、フレッシュな新しい人がやった方が格好がつくと思ったのではないか。また、当選同期生の私や、私より厳しい田中秀征(元経済企画庁長官)らが、遠慮なくものを言うから、うっとうしいと思ったんだろう」と推測する。

排除した側はどう考えていたのか。沖縄訪問中の鳩山氏は電話ロで「私は武村さんと村山さんを排除したつもりはない。お二人とも政策的にも人間的にも尊しているし、武村さんからは『別れても好きな人』という言葉もいただいた。個人的な好き嫌いでやったことではない」と強調した。

では何なのか。「党と党が『政策も何も備わないから一緒になろうぜ』というのでは、支持は決して足し算にならない」というのが鳩山氏の考えだ。

議員一人一人が一つの旗の下に結集する「この指とまれ」方式でなければ、選挙目当ての党利党略にしか映らず、有権者からそっぽを向かれる。鳩山氏は「(武村、村山両氏に)そういうお話をしたが、『よーし分かった』と言っていただけなかった。お二人はあくまで丸ごと合体を考えていた。政策的に選別したわけではなく、あくまで戦略的な問題だ」と振り返る。

 

幅の狭い新党 うまくいかぬ

 武村氏「排除されてもむしろ誇りに」

その「排除の論理」が今、希望、民進の合流問題で浮上している。

 

細野氏は二十八日の民放番組で、党公認として立候補を認める民進党出身者について「三権の長を経験した人には遠慮してもらいたい」と語った。民主党政権時代に首相の座にあった菅、野田両氏を暗に名指しした発言である。

当の野田氏は二十九日、千葉県内で報道陣に「小池さんと(民進党代表の)前原(誠司)さんが決めることだ。先に離党していった人の股をくぐる気は全くない」と不快感をあらわにした。菅氏は地元事務所で選挙報道用の写真を撮影したが、記者の質問には無言を貫いた。地元事務所に尋ねると、「こちらではちょっと分かりませんので」と困惑気味だった。

小池氏は同日朝、細野氏の発言について報道陣に問われた際、「一つの考え方だと思うが、総合的に考えたい」と、野田、菅両氏を必ずしも排除しない姿勢を示した。しかし、午後の記者会見では「安全保障、憲法観といった根幹部分で一致していること」が合流の条件とあらためて主張。希望の基本政策に反する民進党出身者は「排除する」と明言した。

電撃的に希望の代表に就き、安倍政権の継続か、民進を巻き込んだ希望かの政権選択選挙に持ち込みつつある「小池劇場」。「排除の論理」も戦略の一環なのか。

「ポピュリズムとは何か」の著書がある千葉大の水島治郎教授(政治学)は「新しい党を立ち上げる以上、政治理念の合わない人が排除されることはやむを得ない。希望の党でそれぞれの小選挙区から出馬できるのは一人だけ。どのみち選別される」と指摘する。

細野氏の「三権の長」発言についても「『民主党政権という古い政治とは距離を置く』というアピールではないか」とみる。

鳩山、武村両氏は今回の「排除の論理」に何を思うのか。

鳩山氏は「前原さんは民進党を丸ごと合流させたいと思っているようだが、それだと国民は選挙目当ての合体とみなし、支持はあまり得られないだろう。政策が合うかどうかで判断するのは正しいと思う」と小池氏を一定評価する一方、苦言も呈する。

「今回の衆院選は『小池対安倍』のような構図になっているが、前原さんを含めて三人とも対米従属路線だ。どっちに転んでも日米安保中心であることに変わりはない。本当にこの国が自立するためには、保守リベラルのような勢力を結集させなければならない」

武村氏は「政党ができるときは、いろいろな人が集まる。数だけ追い求めると必ず分裂や内部抗争が起きるので、選別する必要はあると思う。だが、あらかじめ『安保法制反対派は除外する』などと枠をつくってしまえば、幅広い野党勢力は結集させられない。人物本位で選ぶべきではないか」と訴える。

なるほど小池、細野両氏の「排除の論理」には、民進のリベラル派を切り捨てる「純化路線」が透けて見える。武村氏は「なぜ新党を立ち上げるかというと、世論に誠心誠意応えたいからでしょう。国民の半数は安倍政権を支持していない。安保法制には憲法学者の大半が違権と指摘し、民進党も反対した。それなのに安保法制反対派というだげで排除してしまえば、すごく幅の狭い新党になってしまい、うまくいかないだるろう」とみる。

武村氏は、苦悶する民進のリベラル派にエールを送る。「排除された人はむしろそれを誇りに、新しい道を自ら切り開けるといい。排除された仲間で結束し、生き残ってほしい」

(((デスクメモ)))
武村氏が追い求めた「小さくともキラリと光る国」(リベラル)と、小沢氏が掲げる「普通の国」(新保守主義)を対立軸に日本政治が再編されていたならば、もう少しまともな風景が広がっていたのではないか。選挙後には、極右まがいの保守二大政党制が誕生しそうな勢いである。(圭) 2017・9・30

□ 新党さきがけ 1993年6月の宮沢喜一内閣不信任案可決を受け、武村正義氏、鳩山由紀夫氏ら自民党の中堅・若手議員10人が離党して結党。同7月の衆院選を経て、細川護熙首相の非自民連立内閣で武村氏が官房長官を務める。細川内閣が8カ月で倒れた後、日本新党の離党者を受け入れて勢力を拡大し、94年には社会民主連合から菅直人氏も合流。同年、社会党の村山富市委員長を首相とする自社さ連立内閣を発足させた。96年夏から党内で新党結成を目指す動きが活発化。同9月には衆参合わせ27人が所属していたが、鳩山氏ら15人が離党して民主党を結成。同10月の衆院選で惨敗して以降、急速に党勢力宅衰え、2002年に解党した。

 

1996年8月、記者会見を終え、視線をそらしながら握手する新党さきがけ代表の武村正義氏(左)と鳩山由紀夫氏=東京・赤坂で

民進党の両院議員総会に臨む野田佳彦前首相(上)と菅直人元首相(下)=28日、東京・永田町の党本部で

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