10/5希望「外国人参政権反対」踏み絵に 突然浮上、排外主義あらわ【東京新聞・特報】

「ヘイト政治家データベース」学生団体が公開 衆院選の立候補予定者の差別・ヘイトスピーチを紹介
http://www.huffingtonpost.jp/2017/10/03/hate_a_23230528/
ハッフィントンポスト

へイト政治家データベース
https://17hatespeech-database.amebaownd.com/

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希望「外国人参政権反対」踏み絵に

突然浮上、排外主義あらわ

  公認候補「なぜ盛り込まれたのか」

2017年10月5日【東京新聞・こちら特報部】

永田町で忘れ去られていた外国人地方参政権問題が突如、激しく揺れ動く政局のど真ん中に現れた。小池百合子東京都知事率いる新党「希望の党」が民進党出身の公認候補と結んだ「政策協定書」の項目の一つに「外国人地方参政権反対」が盛り込まれたのだ。関東大震災朝鮮人犠牲者への追悼文送付を中止したことからも分かるとおり、小池氏には排外主義的な言動が目立つ。日本にも本格的な極右政党が誕生してしまうのか。 (池田悌一、大村歩)

 

民進出身者と協定書

 

希望の党が第一次公認候補百九十二人を発表した三日の記者会見。民進党の玄葉光一郎前衆院議員らが会見場で待機する中、携帯電話を耳に当てながら入室した希望の若狭勝前衆院議員は報道陣の前で強調した。「第二次、第三次の公認者を総合すると(過半数の)二百三十三を超えるのではないか。今後の政権交代を目指すことが十分可能だ」

民進出身者は百十人を占めたが、もともと二百人超の公認予定者がいた。合流見送りが相次ぐのは、希望が全十項目の「政策協定書」への署名を公認候補に課したからだ。いわば「踏み絵」である。

焦点は、二O一五年九月に成立した安全保障関連法と憲法改正の書きぶりだった。協定書の原案は「安全保障法制を基本的に容認する」「憲法改正を支持すること」と明記したが、民進は安保法に反対、一六年参院選では「安倍政権下での改憲反対」を訴えている。結局、希望側が譲歩する形で「安全保障法制は憲法にのっとり適切に運用する」「憲法改正を支持し、憲法改正議論を幅広く進める」に修正された。

その傍ら、ほとんど触れられなかった協定項目がある。「外国人に対する地方参政権の付与に反対すること」だ。ほぼ原案通りの表現で六項目に位置付けられたが、安保や憲法、消費税などの重要政策の中で浮いていた。

外国人地方参政権問題が、活発に議論されたのは一九九0年代だ。在日韓国人ら永住権を持つ外国人が、自治体の首長選や議会選で投票する権利の獲得を求める運動が展開され、最高裁は九五年、「地方参政権の付与は憲法上禁止されているものではない」との判断を示した。しかし、法整備には至らず、民進党の前身である民主党はO九年の政策集に「参政権付与の早期実現」を掲げたものの、政権についた後に党内の意見が割れ、法案提出がかなわないまま議論はしぼんだ。

在日韓国人団体「在日韓国青年会」は、希望の協定書について「人権に関わる政策課題を党利党路で扱うことは許容されない」と反発しているが、なぜ今この間題が持ち出されたのか。

会見で「協定書は私と若狭氏で擦り合わせた」と話していた玄葉氏は、「こちら特報部」の取材に「その項目は自分が発案した部分ではない。若狭氏に聞いてほしい」と事務所を通じて回答。若狭氏の事務所にも質問状を送ったが、同期限までに回答はなかった。

民進党出身者はどんな思いで「外国人地方参政権反対」の項目に向き合ったのか。署名した武正公一前衆院議員は「なぜ盛り込まれたのかは分からない。各項目を深掘りするような時間はなく、全体を見てサインした」と語る。

一方、川内博史元衆院議員は「私は安保法制を認めている時点で、踏み絵を踏む気にはならなかった」と立憲民主党からの出馬を表明した上で、「外国人も各地で納税しているのに、地方参政権付与を頭から否定するとは:。希望の党が掲げる寛容や多様性とはほど遠い考え方で、国家主義的な政策の抑しつけを感じる」と疑問視した。

 

小池氏強硬姿勢ぶれず

 朝鮮人追悼文拒否など「巧妙な極右勢力」

  「ヘイト問題を衆院選争点に」

 

小池氏は、昨年七月の都知事選の公約の中で「ダイバー・シティ(多様性)社会」を提示した。希望結党に際しては「寛容な改革保守」を打ち出している。

「多様性」「寛容」の看板と「外国人地方診政権反対」とは一見、相反する考え方のように見えるが、「日本型排外主義」の著書がある徳島大の樋口直人准教授(社会学)は「小池氏は自民党時代、『国境の与那国島が地方参政権を持った外国人に乗っ取られたらどうするのか』と主張したこともある。彼女の外国人への強硬姿勢はぶれていない」とみる。

確かに都知事選の公約を読み返すと、ダイバー・シティの説明には「女性も、男性も、子どもも、シニアも、障害者もいきいき生活できる、活躍できる都市・東京」とあるが、「外国人も」とは書いていない。意識的に「外国人」を落としたことは、具体策の一つとして「都立高跡地を韓国人学校に貸与する(舛添要一)前知事の方針は白紙撤回」を挙げている点からも明らかだろう。韓国人学校の白紙撤回は当選するや実行した。

関東大震災時に虐殺された朝鮮人犠牲者を慰霊する九月一日の式典への追悼文送付は一九七0年代から続いてきたが、小池氏は断った。小池氏は会見で「さまざまな見方がある。歴史家がひもとくものではないか」と、虐殺の事実認識さえあいまいにした。

日本映画大の韓東賢-ハントンヒョン-准教授(社会学)は「外国人参政権反対にしろ、追悼文拒否にしろ、彼女はすでにある実体としての権利を奪うという形はとらない。すでにあるものを奪うとなったら大きな抵抗を受けるからで、外国人への生活保護費支給停止などを訴えたこれまでの極右勢力と異なり、巧妙だ」と指摘する。

希望の協定書は、民進出身者を選別した。韓氏は「外国人参政権」のような当面実現可能性がないもの、一般国民が困らないものだから、多くの民進党議員ものめた。実体はないが象徴的だから、リベラル派排除の踏み絵になったし、排外主義的傾向のメッセージにもなっている。それで得られる票も考えているかもしれない」と分析する。

実際、「右派票」の素地はある。前回一四年の衆院選以降、昨年六月にはヘイトスピーチ対策法が施行されたものの、ヘイトデモが全国各地で頻発するとともに、インターネット上の差書き込みも絶えない。

こうした状況に危機感を抱く学生団体「反レイシズム情報センター(ARIC)」は三日、「へイト政治家データベース」と題するホームページを開設。へイト問題を衆院選の争点の一つに押し上げたいからだ。代表の梁英聖-リャンヨンソン-氏は「小池氏は、一連の言動から差別扇動を政治利用する政治家だと考えていた。もし立候補すればデータベースに載せる」と明快だ。

データベースによれば、へイト候補は与野党間わず存在する。梁氏は「こうした候補者が大量に出現することは、差別していい、いや差別すべきなんだという認識を社会に広めることになる。従来の極右勢力が存在意義を示すため、さらに暴力的なへイトクライム(犯罪)に出る可能性がある」と警鐘を鳴らす。

過去の国政選挙では、一部の小政党が排外主義的、歴史修正主義的な主張を露骨に振りまくことはあった。前出の樋口氏は「希望の党は都市型ポピュリスト政党として、子育て支援や性的少数者容認などリベラル的な政策も打ち出さなければならず、票にならない排外主義的傾向を前面には出さないだろう」と予測するが、将来的な極右化の可能性は否定しない。

「小池氏は今回、排外主義を黙認しない人を切った。希望の党が多数議席を得れば、もし排外主義がもっと高まったときに黙認してもよいという勢力が伸びることになる。誰が抑えられるのだろうか」

記者団の質問に答える小池百合子東京都知事=4日、東京都新宿区で

(上)小池氏が知事選の公約で掲げた「ダイバー・シティ」には「外国人」が抜け落ちている

(下)ヘイトスピーチデモを予告したグループに抗議する人たち=7月16日、川崎市中原区で

(((デスクメモ)))
極右政治家の代表格とみなされてきたのが石原慎太郎元都知事である。その石原氏から「大年増の厚化粧女」と罵倒された小池氏が、石原氏の極右的な側面を最もよく継承しているのは皮肉だ。「小池劇場」に振り回されっぱなしだが、政治的厚化粧位の下の素顔をしっかり見極めたい。(圭) 2017・10・5

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