10/11キャベツの悲鳴 樽川久志さんの死/原発事故「生業」訴訟判決【中日新聞・龍渓論壇】

金澤裁判長 ありがとう!

「龍渓論壇」さんの「 KKK(かけかくしかいさん)総選挙ー原発事故「生業」訴訟判決 」によると、

国は遅くとも平成19年8月頃、東電に回避措置を命令すべきだった。これを行使していれば本件事故は防げた。
この時期の内閣は、だれあろう と第一次安倍政権をあげている。

 

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http://www.chunichi.co.jp/article/column/syunju/CK2017101102000104.html
【中日新聞・中日春秋(朝刊コラム)】2017年10月11日

福島県須賀川市で八代続く農家の樽川(たるかわ)和也さん(42)は、キャベツの悲鳴を聞いたことがあるという

▼樽川さんの父・久志さんは、土づくりにこだわる人だった。「一センチのいい土ができるには、百年かかる」と言い、堆肥づくりに手間暇を掛けた。その土で育てた野菜は築地市場で評価され、自慢のキャベツは学校給食でも人気だった

▼だが、福島第一原発の事故は、久志さんと先祖代々の情熱が染み込んだ土を汚した。地元産のキャベツが出荷停止になったとの知らせが入った翌朝、久志さんは自ら命を絶った

▼出荷できなくなった七千五百株のキャベツは、畑でむなしく育った。大きくなりすぎたキャベツはパリッパリッと音を立て、真っ二つに割れた。和也さんには、それがキャベツの悲鳴に聞こえたのだ

▼衆院選が公示された昨日、和也さんら福島の人たち三千八百人余が「原発事故で奪われた生業(なりわい)と地域を返せ」と起こした裁判の判決が出た。福島地裁が政府と東電の責任を厳しく認めて賠償を命じたとの一報を、和也さんは稲刈りの最中に聞いた

▼久志さんは、遺書は残さなかった。ポケットの中に歩数計機能付きの携帯電話があり、その歩数は、およそ七百。自宅裏のキャベツ畑を見てから、命を絶ったのだろう。それから六年半。私たちは、どんな方向に、どれほど歩いてきたのか。立ち止まって考えたい、衆院選だ。

 

 

国と東電に再び賠償命令 原発福島訴訟、原状回復は認めず

http://www.chunichi.co.jp/article/front/list/CK2017101002000083.html
【中日新聞・一面】2017年10月10日 夕刊

福島地裁前に到着した原告団=10日午後
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東京電力福島第一原発事故の被災者約三千八百人が国と東電に損害賠償などを求めた訴訟の判決で、福島地裁(金沢秀樹裁判長)は十日、国と東電に賠償を命じた。国と東電の賠償責任を認めたのは三月の前橋地裁に続き二件目。

原告は事故当時の福島県と、隣接する宮城、茨城、栃木三県の住民で、全国で約三十件ある同種の集団訴訟で最大規模。判決は三件目となり、国と東電が津波を予見し事故を回避できたかが最大の争点だった。

原告側は政府機関が二〇〇二年に発表した地震に関する「長期評価」などから、津波を予見できたと指摘。「国が東電に対策を取らせていれば事故は防げた」と主張した。

原告全員が一人当たり月額五万円の慰謝料などを請求。うち四十人は、千葉地裁が国の賠償指針を超えて認めた「ふるさと喪失慰謝料」も求めた。

被告側は、長期評価は確立した知見ではなかったと反論。津波は予見できず、事故前には国は東電に対策を取らせる権限もなかったとしていた。

前橋地裁は「津波は予見でき、事故も防げた」として東電と国に賠償を命じた。一方で千葉地裁は九月、国の責任を認めず、東電だけに賠償を命じる判決を出した。

原発事故被災者訴訟の判決で福島地裁は、原告の居住地の放射線量を事故前の水準に戻す「原状回復」は認めなかった。

<東京電力福島第一原発事故> 2011年3月11日の東日本大震災による地震と津波で、福島第一原発の6基のうち1~5号機で全交流電源を喪失、原子炉などを冷却できなくなった。1~3号機で炉心溶融(メルトダウン)が起き、1、3、4号機の原子炉建屋が水素爆発した。大量の放射性物質が放出され、事故の深刻度を表す国際評価尺度でチェルノブイリ原発事故と同じ最悪の「レベル7」となった。国は周辺市町村に避難指示を出し、住民は強制避難させられた。避難指示は順次、解除されている。

 

 

福島原発判決 国の責任を明確にした

http://www.chunichi.co.jp/article/column/editorial/CK2017101102000106.html
【中日新聞・社説】2017年10月11日

国と東京電力の両方に賠償を命じた福島地裁の判決だった。原発事故の被災者ら約四千人が起こした裁判で、津波の予見性とその対策をしなかった責任を明確にした点は極めて大きな意味がある。

「なりわいを返せ、地域を返せ」のスローガンで全国最大規模の訴訟だった。原告は福島の全五十九市町村ばかりでなく、宮城、茨城、栃木にまたがった。

居住地の放射線量を事故前の水準に戻す「原状回復」を求めたが、これは認められなかった。だが、国と東電に対し、約五億円の賠償を認めた。この判決が画期的といえるのは、原告勝訴に導いた論理の明快さといえる。

まず出発点に挙げたのが、「長期評価」である。文部科学省の地震調査研究推進本部。その地震調査委員会が二〇〇二年に作成した「三陸沖から房総沖にかけての地震活動の長期評価」のことだ。

これを判決は「専門的研究者の間で正当な見解として是認されたものであり、信頼性を疑うべき事情は存在しない」と断言する。

そうすると国も東電も福島第一原発付近では最大一五・七メートルの津波を予見することができた。実際に〇八年に東電自身がそのように試算しているのだ。

判決はいう。経済産業相は長期評価が公表された後、シミュレーションに必要な期間が過ぎた〇二年末までに、東電に対し非常用電源設備を技術基準に適合させるよう行政指導するべきだった。東電が応じない場合は、規制権限を行使すべきであった。

判決は津波対策の回避可能性についても、さらに具体的に言及する。安全性確保を命じていれば、東電はタービン建屋や重要機器室の水密化の措置を取っていたであろうから、全電源喪失による事故回避は可能だった-。

何と整然とした論理であることか。国の責任をはっきり明言した判決に敬意を払う。次のようにも書いている。

<経産相の〇二年末の津波対策義務に関する規制権限の不行使は、許容される限度を逸脱して著しく合理性を欠いていた>

〇二年から東日本大震災の一一年までの間、国も東電もすべきことを何もなさず、ただ漫然としていたのである。

大地震も大津波もたしかに自然の力による天災であろう。しかし、原発事故は予見できたのに手を打たなかった人災である。そのことが、今回の裁判でより鮮明に見えてきた。

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