10/12もう一つの争点「孤立する日本」【東京新聞・特報】唯一の被曝国が

「北の武装難民が来たら射殺か」発言の麻生太郎副総理が出てきてます。

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もう一つの争点「孤立する日本」

 北朝鮮 衆院選 海外からの印象は?

 圧力一辺倒」は日本だけ 対話探る中ロ韓独仏

2017年10月12日【東京新聞・こちら特報部】

「日本の指導者は広島の平和主義の教訓をほとんど生かさない」。昨年五月のオバマ前米大統領の広島訪問の際、米ニューヨーク・タイムズ(電子版)はこう報じた。第二次安倍政権以降の四年半、海外に映る日本の姿も変わった。国粋的な歴史認識のみならず、特定秘密保護法や共謀罪などの強権的な成立は懸念とともに伝えられている。衆院選では、日本の海外イメージも隠された争点の一つだ。(大村歩、加藤裕治)

安倍首相は今回の衆院選を「国難突破のため」と位置付けた。国難の中核は北朝鮮問題らしい。公示日の十日、福島市での第一声でも「北朝鮮の脅威にいかに取り組んでいくかを決める選挙」だと強調した。

それならば、安倍政権の対北朝鮮政策がどうなのかが問われるが、これが世界では浮いている。「習近平VSトランプ 世界を制するのは誰か」の著者で東京福祉大国際交流センター長の遠藤誉氏は「全世界が老獪な戦術で圧力と言いつつ対話を模索しているのに、日本だけが少なくとも公には圧力一辺倒で対話を拒む姿勢では、世界から取り残されると懸念する。

まずは中国だが、朝鮮戦争時には中国軍が北朝鮮に加勢した「血を分けた兄弟」関係にあり、両国は軍事同盟を結んでいる。近年は北朝鮮の核・ミサイル開発によって六年間も中朝首脳会談が開けないほど関係は冷え込んではいるが、お互いに大使を召還するようなこともなく、対話チャンネルを確保している。

仮に北朝鮮が崩腹し、米国の前線が中朝国境まで迫ってくれば、中国にとっては盛大な街威。一方で「今までの制裁のレベルを超えたカlド」(遠藤氏)を持っており、そうしたカードを使った中国の対話路線に変更はないとみられる。

ロシアはどうか。プーチン大統領は先月五日、米国の介入で独裁体制が崩壊したイラク、リビアを例に挙げ「北朝鮮は草を食べるようになっても(中略)核開発をやめないだろう。武力による威嚇は地球レベルの大惨事を生む」と対話路線を堅持。ラプロフ外相も同二十二日、米朝首脳同士の舌戦に「幼稚園児のけんかはやめよ」といさめた。北朝鮮からの出稼ぎ労働者の確保もロシアには霞要だ。

韓国も北朝鮮との対話路線を掲げて当選した文在寅大統領が、制裁や圧力の強化に賛同しつつも、国連機関を通じた九億円の人道支援を決定した。北朝鮮との軍事衝突が起これば、最も被害を受けることは確実なだけに、対話ルートを閉ざすつもりはなさそうだ。

このほか、ドイツのメルケル首相は「軍事力による解決は完全に間違いだ」とし、フランスのマクロン大統領も「いかなる軍事介入にも反対する。対話こそ唯一の方策だ」と、北朝鮮の「完全破懐」に言及した米トランプ大統領をけん制。スイスのロイトハルト大統領は「いつか外交と融和が必要になる」とし、仲介役に名乗りを上げている。

「対話ではなく圧力」路線をひた走るのは日米だけのようだが、その米国でさえ、ティラーソン国務長官は先月三十日「対話はできるし、実際に話をする」と強調し、北朝鮮側との直接対話を公言。トランプ大統領は直後に「国務長官に時間の無駄だと伝えた」と明かしたが、米政権内も圧力路線一辺倒ではない。

 

核兵器  政府 ノーベル平和賞に祝意2日後

拡散防止を重視・・・一方でインドとは原子力協定

 

米国の外交政策に詳しい神奈川大の佐橋亮准教授(国際政治学)は「米国では北朝鮮を核保有国として認めるわけではないが、核保有を前提とした上で、いかに核兵器を管理するか、米国に対する脅威を削ぐことができるのか、という議論が党派を問わず展開されているのが現状だ。圧力強化派は多いものの、その圧力の先に対話によって解決を図るというゴールも見ている」と解説する。

だが、日本は安倍首相がトランプ大統領に、九月の国連総会で「全ての選択肢がテーブルにあるという、米国の立場を一貫して支持する」ともろ手を挙げてすり寄っただけに対話路線への歩み寄りは見られない。「北の武装難民が来たら、射殺か」(麻生太郎副総理兼財務相)といった国連の「難民の地位に関する条約」の趣旨に反する発言まで飛び出し、脅威をあおる姿勢が際立つ。アジアで包囲網を築こうにも中韓とは歴史認識問題などをめぐり、不信の溝が横たわる。

遠藤氏はこう訴えた。「北朝鮮が圧力により、反省して核とミサイルを放棄することはあり得ない。圧力の行き着く先は戦争だが、戦争のリスクは各国とも負いたくない。日本以外の国が北朝鮮との対話チャンネルを待っていると公表する中、日本だけ圧力一辺倒という選択が本当に賢明といえるのか、再考してみるべきだ」

 

 「唯一の被爆国が」

 

核兵器、原子力をめぐっても、日本は海外から不信の目を向けられている。

「被爆者への背信だ」。核兵器の全面禁止をうたう核兵器禁止条約の採択に貢献し、六日にノーベル平和賞受賞が決まった非政府組織(NGO) 「ICAN
(アイキャン)」の関係者は日本をこう批判した。日本が条約に不参加の方針を示しているからだ。

ICANには日本のNGOも参加。だが、政府は受賞の決定にしばらく沈黙した。受賞決定から二日後の党首討論で、安倍首相は「北朝鮮の危機がある中で核抑止力を否定してしまっては(米国の『核の傘』の下にいる)日本の安全を守り切ることができないと判断した」と、条約不参加の理由について説明した。

同じ日に発表された外務報道官の談話では「政府のアプローチとは異なりますが、核兵器廃絶というゴールは共有」などと、微妙な言い回しで祝意を示した。

外務省のいう日本のアプローチとは「核兵器保有国も交えて話し合い、ゆっくり減らす」。そのために核兵器の保有を米露中英仏の五カ国に限る核拡散防止条約(NPT)を重視している。他国への拡散を防ぎつつ、保有国の核兵器を減らすという道筋だ。

ところがNPTに進行しかねない動きがあった。今年六月に国会で承認されたインドとの原子力協定だ。協定は、インドに日本の原発を売り込むことを可能にする。そのインドはNPTに加盟せず、核兵器を保有している。一九七四年と九八年に核実験もしている。

日本側は「平和利用に限定」としているが、軍事転用されないための監視や担保は明らかでない。本来なら原子力技術を輸出できない相手。岐阜女子大南アジア研究センターの福永正明客員教授は「これでは事実上、唯一の被爆国の日本がインドの核保有を容認したことになる。インドはよくて、なぜ北朝鮮がだめなのか。世界に説明できなくなる」と批判する。

禁止条約についても「最終的に不参加になるにしても交渉に加わり、汗をかいて参加できる余地を探すべきだった」と振り返る。

協定でNPTの抜け穴をつくる一方で、NPTを理由に核兵器の禁止に背を向ける。政府はそんな矛盾した姿勢を取っている。福永氏は「戦後、米国の核の傘の下でも日本は核廃絶を訴えてきた。その外交方針を変えてしまった」と話す。

「唯一の被爆国がなぜ」という素朴な疑問が海外から突きつけられている。

(上)北朝鮮に対する新たな制裁決議を採択した国連安全保障理事会=先月11日、ニューヨークで(共同)
(下)「水素爆弾」とみられる物体を見る北朝鮮のトップら.朝鮮中央通信が先月3日に配信した=朝鮮通信・共同

核兵器禁止条約不参加の日本政府に再考を呼び掛けるICANのフィン事務局長(左)ら=9日、ニューヨークの国連本部で(赤川肇撮影)

日印原子力協定の署名式で握手するインドのモディ首相(左)と安倍首相=昨年11月、首相官邸で

(((デスクメモ)))
好戦的な自称専門家たちの「現実主義」に閉口することが多い。たとえば圧力。サダム・フセイン時代のイラクをしばしば訪れたが、制裁は独裁体制を強化しただけ。核武装もしかり。行き着く先は相互絶滅しかない。「現実主義」こそファンタジーではないか。流されてはならない。(牧) 2017・10・12

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