11/28大飯再稼働 知事同意の記事【東京新聞・核心、日刊県民福井・中日新聞福井版】

大飯再稼働 知事同意 課題先送り、続く原発依存

 同時事故避難 核のごみ対策

【東京新聞・核心】2017年11月28日

関西電力大飯(おおい)原発3、4号機(福井県おおい町)の再稼働に向けた地元同意の手続きが終わり、関電は年明け以降に計二基を順次動かす予定だ。約十三キロしか離れていない関電高浜原発3、4号機(同県高浜町)も再稼働済みだが、両原発で同時に事故が起きた場合の避難対策は不十分。再稼働で増える「核のごみ」も根本的な対策は見つかっておらず、福島第一原発事故前と同様、課題を先送りしたまま次々と原発が稼働していく。 (中崎裕)

関西電力大飯原発3号機(手前)、4号機=福井県おおい町で、本社へリ「あさづる」から

 ■不安要素

「広域避難のために重要な二ルートが、土砂崩れにより数日から三週間にわたり通行不能となった」。今月二十五日、おおい町の中塚寛町長が大飯原発の視察に訪れた中川雅治・原子力防災担当相に災時への不安を訴えた。大飯原発の半径五キロ圏内に一部が含まれる小浜市の東武雄副市長も「(五キロ圏内の)集落から避難に使えるのは一本の生活道路だけだ」と実情を説明した。

内閣府などが十月に取りまとめた大飯原発の事故に備えた広域避難計画では、冷却機能を失った段階で避難する五キロ圏内の住民は、両市町合わせて千人。いずれも半島部で、大雪や土砂崩れなどで道路が通れず、悪天候で船やヘリも使えなければ数日間は足止めされる。ところが、一帯で放射性物質の流入対策が取られた防護施設の収容可能人数は三百三十人にとどまる。

内閣府は防護施設でないコンクリート造りの建物も退避用に活用できるとの見解だが、どれだけ放射線を遮れるのかは、「分からない」という。避難が必要な半径三十キロ圏に一部が入る滋賀県の三日月大造知事は計画の実効性に不安が残るとして、「再稼働を容認できる環境にはない」との姿勢を崩さない。

 ■検討これから

避難計画はあっても実効性を検証する訓練はまだ実施されておらず、中川担当相は「再稼働とは関係なくやっていく」との姿勢。高浜原発との同時事故対策については、「いろいろな懸念もある」としつつ、具体的な検討はこれからだ。

福井県の西川」一都知事が、国や関電に県外立地を求めてきた使用済み核燃料の中間貯蔵施設の問題も先行きは不透明だ。

関電の岩根茂樹社長が二十三日に知事との面談で「二O一八年には計画地点を示す」と踏み込んだことで、西川知事は同意に当たり「決意を受け止める」と評価した。

だが、中間貯蔵施設は青森県六ケ所村の再処理工場の完成が延期され続けたことで、原発内の使用済み燃料プールが満杯になるのを避けるのが目的。使用済み燃料を繰り返し使う「核燃料サイクル」がうまく回らない中、原発を動かし続けるための施設だ。受け入れ先が見つかるか不透明なうえ、仮に完成しても「ごみ箱」が増えるだけになりかねない。

 ■振興策へ思惑

なぜ立地県として同意したのか。西川知事は避難訓練を「条件ではないが、遅れることなく実行することにしている」と述べつつ、再稼働を認めた理由に原発依存を続ける国策への貢献を挙げた。

福井県には廃炉中も含め十五基の原発が集中するだけに、西川知事は「国の原子力政策に四十年以上にわたって貢献し、日本全体が繁栄してきた一番根っこの所をわれわれが支えてきた」と語り、再稼働を「福井県の役割」と位置付ける。

国策に貢献する代わりに、交付金だけでなく、国から振興策の支援を引き出す思惑もある。

核燃料サイクルの一翼を担うと期待されながら昨年末に廃炉が決まった高速増殖原型炉もんじゅ(同県敦賀市)を巡っても、県は廃炉条件として高速道路の四車線化など直接関係ない事業を要求。二十二日にあった関係閣僚との協議会では「地域が新たな将来像を描けるように」と振興策を求めるなど、原発頼みの姿勢が際立つ。

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安全確保されたのか 大飯再稼働に知事同意

 広域避難 懸念の住民も

http://www.chunichi.co.jp/kenmin-fukui/article/kenmin-news/CK2017112802000206.html
【中日新聞・福井発】2017年11月28日

西川一誠知事が二十七日、関西電力大飯原発3、4号機(おおい町)の再稼働に同意したことで、二基の再稼働が事実上決まった。経済効果を期待する地元住民からは歓迎する声が聞かれる一方、事故時の広域避難計画に基づいた訓練がまだされていない中で再稼働を迎えることに、計画の対象となる原発の半径三十キロ圏内の住民からは不安も上がった。 (山谷柾裕、鈴木啓紀)

「今更、原発なしの暮らしは考えられない」。原発のお膝元、同町大島地区に住む漁師、谷口昭治郎さん(78)は魚を卸している地区の民宿業への好影響を期待し、再稼働を望む。原発が再稼働すれば、原則十三カ月に一回の定期検査で数千人もの作業員が訪れる。「生まれてから大きな地震もないし、不安は特に感じていない」と話した。

だが、原発で事故が起きれば大飯原発から三十キロ圏内にある福井、京都、滋賀の三府県十一市町の十六万人は圏外への避難が必要になる可能性もある。西川知事は広域避難訓練が実施されない段階で同意に踏み切ったが、おおい町石山の住職、宮崎慈空さん(73)は「避難が十分な形でなければ、再稼働をしてはいけないというのが普通の考え方だと思う」と疑問を投げ掛けた。隣接する小浜市の塾講師田中美穂子さん(57)は「広域避難訓練をもっとしてほしい。国としてはあくまでも、原発をゼロにしていくことを目指すべきだ」と注文した。

滋賀県内で大飯原発の三十キロ圏に一部が含まれる高島市。同市朽木のNPO役員村田秀樹さん(54)は、両親がこの区域で暮らしている。「原発を動かすのは国の政策だし、新規制基準も合格した。しかし、安全に百パーセントはない」と感じている。福井との県境付近の山間部では狭い県道一本でつながっているだけの地域もあり、冬には積雪もある。「こういった条件下で、事故が起こった場合の避難経路の確保など具体的な安全対策が示されているとは思えず、(同意は)時期尚早ではないか」と首をかしげた。

福井正明市長は「西川知事は非常に難しく、重要な判断をされた」とコメントする一方、「住民避難に関する市民の不安は払拭(ふっしょく)されていない」として国に説明を尽くすよう求めた。

大飯再稼働 知事が同意 地元手続き完了

http://www.chunichi.co.jp/kenmin-fukui/article/kenmin-news/CK2017112802000208.html
【中日新聞・福井発】2017年11月28日

大飯原発3、4号機の再稼働同意を表明する西川一誠知事=27日、県庁で(山田陽撮影)
写真

関電計画

3号機を1月

4号機は3月

西川一誠知事は二十七日午前の定例記者会見で、関西電力大飯原発3、4号機(おおい町)の再稼働に同意する考えを表明した。町と県議会は既に同意済みで、地元手続きは完了した。関電は来年一月中旬に3号機、三月中旬に4号機を再稼働させる計画。 (中崎裕、鈴木啓太)

佐賀県の九州電力玄海原発3、4号機も地元同意を終えている。全国で既に稼働している五基に加え、年度内に四基が相次ぎ再稼働する可能性がある。

西川知事は会見で、地元のおおい町や県議会が既に再稼働に同意していることや「国や関電の使用済み核燃料の中間貯蔵施設の県外立地への対応などを総合的に勘案して判断した」と理由を説明した。世耕弘成経済産業相には同日正午すぎ、電話で同意を伝えた。

関電の岩根茂樹社長は同日、大阪市の本店で会見し、西川知事の同意を受けて「安全最優先で再稼働に全力で取り組む」と決意を示した上で「3、4号機が営業運転を開始すれば、速やかに電気料金を値下げしたい」と語った。

関電は高浜3、4号機でプルトニウム・ウラン混合酸化物(MOX)燃料を使うプルサーマル発電をしているが、岩根社長は「今回は関係ない形で再稼働する」との考えを示した。

写真

廃炉中を含め十五基の原発が集中する県内では、おおい町の隣の高浜町にある関電高浜原発3、4号機が五月と六月に再稼働した。大飯の二基が稼働すれば新規制基準下で初めて同一県内で二カ所の原発が同時に運転することになる。

内閣府などは十月に大飯原発の事故に備えた広域避難計画を策定したが、約十三キロしか離れていない二原発が同時に事故を起こした際の想定はなく、今後の検討課題としている。

大飯3、4号機は二〇一一年三月の福島第一原発事故後、一二年七月に民主党政権の政治判断で再稼働し、一三年九月に定期検査のため停止した。関電は新規制基準を踏まえた対策工事を実施し、原子力規制委員会が今年五月に新基準への適合を認めた。

二基に対し、県民らが一二年十一月、運転差し止めを求めて提訴。福井地裁が一四年五月に再稼働を認めない判決を出したが、関電が控訴し係争中。元規制委員長代理の島崎邦彦東大名誉教授が過小評価と指摘した地震の想定などが争点となっている。

大飯原発3、4号機 おおい町にある関西電力の原発で、いずれも加圧水型軽水炉。3号機は1991年、4号機は93年に営業運転を始め、出力は各118万キロワット。東京電力福島第1原発事故後、国内の全原発が停止した中、当時の民主党政権が決めた暫定基準に基づき、2012年7月に再稼働し、13年9月に定期検査で停止。今年5月、原子力規制委員会の審査に合格した。住民らが運転差し止めを求めた訴訟で、福井地裁が14年5月、運転を認めない判決を言い渡した。名古屋高裁金沢支部で争われている控訴審は今月、結審した。

 

原子力政策、貢献を自負 大飯2原発再稼働、知事同意

http://www.chunichi.co.jp/article/fukui/20171128/CK2017112802000033.html
【中日新聞・福井】2017年11月28日

二十七日に県庁で会見し、関西電力大飯原発3、4号機(おおい町)の再稼働に同意した西川一誠知事。「日本全体が繁栄してきた一番根っこの所をわれわれが支えてきた」と、四十年以上にわたり原子力政策に貢献してきた自負をのぞかせたが、再稼働の必要性について自らの考えを語る場面は少なかった。

原発の再稼働を巡っては、国民の間に賛否両論があり、滋賀県などからは慎重意見が出ている。知事同意は行政判断として最終段階に当たるが、会見中の西川知事は終始、淡々としていた。

県内には廃炉中を含め、全国最多の十五基が立地する。西川知事は、再稼働が生み出す県民益を「産業政策とかエネルギー研究開発拠点化計画のように地域の発展につながり、医療や農林水産業などいろんなところに影響する」と説明した。

県はこれまで、国と電力事業者に、原子力の必要性に関する国民理解の促進を繰り返し求めてきた。会見で自身の見解を問われた西川知事は、エネルギー基本計画で電源構成の一定割合を原子力が占めるという国の方針を語るにとどめた。再稼働を「日本にとって意義あることだと、理解を深めてもらいながら進めていくことが大事」と述べた。

一方、同意判断に至るポイントの一つが、使用済み核燃料の中間貯蔵施設の県外立地の具体化だった。関電は当初、二〇二〇年ごろに計画地点を確定、三〇年ごろに操業と予定していたが、二十三日に計画地を一八年に示すと表明した。

この日、西川知事は「原発の将来の運転も考えると、中間貯蔵の見通しがないと問題」と指摘。大飯原発は保管プールが約七年で満杯になる計算のため「スケジュールが逼迫(ひっぱく)してきた。責任を持ってやってほしい」と国、事業者に着実な実行を求めた。

(山本洋児)

◆「誇り持って電力供給を」おおい町長

西川一誠知事が二十七日、関西電力大飯原発3、4号機の再稼働に同意したのを受け、地元のおおい町の中塚寛町長は安全性や地域防災計画の実効性向上などを国と関電に求めた上で「原子力立地地域が誇りを持って必要な電力を供給できるよう取り組んでいただきたい」とコメントした。

全国原子力発電所所在市町村協議会の会長を務める渕上隆信敦賀市長もコメントを発表し、国と関電に対し「安全確保を最優先として、再稼働に向けた今後の手続きに万全を期してほしい」と求めた。

(山谷柾裕)

 

◆県民に対し大きな責任

<解説>

西川一誠知事が福島第一原発事故後の新規制基準下で、原発の再稼働に同意するのは高浜原発3、4号機に続いて二度目だ。県内には廃炉中も含め全国最多の十五基が集中立地しており、西川知事は長い目で、原発との共生を続ける道を進もうとしている。

今回の大飯3、4号機の再稼働判断で西川知事がこだわったのは、関電が使用済み核燃料を県外搬出するための計画を具体化すること。関電の大飯、高浜、美浜の三原発内の使用済み燃料プールは六~九年で満杯になる。この日の会見では「原発の将来の運転などを考えると」と話し、原発長期運転への準備を気にしていることをうかがわせた。

嶺南地方の経済は、原発が運転し、十三カ月ごとの定期検査で作業員が入り込まないと好循環しない側面がある。西川知事は「安全対策は大事」としつつ、原発が「地域の発展につながったり、医療や農林水産のいろんなところに影響する」と話した。

しかし、全国では原発に対する風当たりがいまだ強い。福井県から電気が送られる消費地の関西地方でも歓迎されているとは言い難いのが実情だ。

トップとして、信じる道を歩めば責任も生じる。愛媛県の中村時広知事は二〇一五年十月、伊方原発の再稼働の同意手続きの中で、過酷事故があれば「進退をかける」と話した。地元を代表して大飯も含めた二原発四基の再稼働に同意した以上、西川知事も県民に対して大きな責任を負うことになる。

(尾嶋隆宏)

 

福井、2原発同時運転へ 大飯再稼働、知事が同意

http://www.chunichi.co.jp/article/front/list/CK2017112802000060.html
【中日新聞・一面】2017年11月28日 朝刊

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福井県の西川一誠知事は二十七日午前の定例会見で、関西電力大飯原発3、4号機(同県おおい町)の再稼働に同意する考えを表明した。おおい町と県議会は既に同意しており、原発再稼働のための地元の手続きはこれで完了。関電は来年一月中旬に3号機、三月中旬に4号機を再稼働させる計画だ。

佐賀県の九州電力玄海原発3、4号機も地元同意を終えている。国内の原発は既に稼働している五基に加え、本年度中に玄海、大飯の二カ所の計四基が相次ぎ再稼働する可能性がある。

西川知事は、おおい町や県議会が再稼働に同意したことや、「国や関電の使用済み核燃料の中間貯蔵施設の県外立地への対応などを総合的に勘案して判断した」と説明。世耕弘成経済産業相には同日午後、同意した旨を電話で伝えたという。

関電の岩根茂樹社長も同日、大阪市の本店で会見。西川知事の同意を受けて「安全最優先で再稼働に全力で取り組む」と決意を示した上で、「3、4号機が営業運転を開始すれば、速やかに電気料金を値下げしたい」と語った。

廃炉中を含め十五基の原発が集中する福井県では、おおい町の隣の高浜町にある関電高浜原発3、4号機がそれぞれ六月と五月に再稼働した。大飯の二基が稼働すれば新規制基準下で初めて同一県内で二カ所の原発が同時に運転することになる。一方、内閣府などは十月に大飯原発の事故に備えた広域避難計画を策定したが、約十三キロしか離れていない二カ所の原発が同時に事故を起こした場合の想定はされていない。

大飯3、4号機は二〇一一年三月の福島第一原発事故後、一二年七月に民主党政権の政治判断で再稼働したが、一三年九月に定期検査のため停止した。関電は新規制基準を踏まえた対策工事を実施し、原子力規制委員会が今年五月に新基準への適合を認めた。

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