【1/1、1/3中日新聞】除染袋から水漏れ(映像)

東京電力福島第一原発事故に伴う福島県飯舘村の除染現場で、防水用の内袋を閉じていない手抜き除染袋(フレコンバッグ)が大量に見つかった問題で、同様の手抜きフレコンが村の他の現場や、福島県内の別の自治体でも発生していることが、本紙の調査や元作業員らの証言で分かった。一部では汚染された疑いのある雨水が外に漏れているのを確認。早期の帰還を願う住民や現場の作業員にとって高い安全性が求められる除染事業が揺れている。(2018年1月3日公開)

2018/01/02 に公開
https://www.youtube.com/watch?v=rgmRHE5_yXE&t=1s

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福島除染袋、手抜き横行か 内袋閉めず漏水懸念

http://www.chunichi.co.jp/article/front/list/CK2018010102000049.html
【中日新聞・一面】2018年1月1日 朝刊

福島県飯舘村の除染現場で見つかった内袋が閉まっていない手抜きフレコン=元作業員提供
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東京電力福島第一原発事故以降、福島県飯舘村で実施された除染事業で二〇一五年十月、汚染土壌を詰めた二重構造の除染袋(フレコンバッグ)のうち、防水機能のある内袋が閉められていないものが千袋、見つかっていた。雨水などが浸入し、汚染水として漏れる恐れがある状態。扱った特定業者のみの手抜きとされ、千袋を詰め直したが、当時の作業員は手抜きは他業者もやっていたと証言した。未発見の手抜きフレコンが今も大量に放置されている可能性がある。

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問題の除染事業は環境省が発注し、大手ゼネコン大成建設などの共同事業体(JV)が受注。一五年一月から一七年三月まで飯舘村で行われた。関係者の内部資料によると、一五年十月、飯舘村比曽地区の除染現場で出たフレコンを地区内の仮置き場に搬送中、一部のフレコンから水がにじみ出ているのが見つかった。

調べたところ、内袋が閉まっていなかった。黒い外袋は水を通すため、内袋が閉まっていないと雨水などが入る。施工は名古屋市の二次下請け業者だった。大成建設の指示で、この業者が担当した計二千九百八十四袋を調査したところ、千四十七袋(35%)で内袋が閉まっていなかった。

大成建設の担当者によると当時、問題の業者以外に不良フレコンが見つかった例はなく、仮置き場にある他の業者の施工分は調べなかった。この問題を環境省に報告。内袋を閉めるよう各業者に周知したという。

一方、問題とされた業者関係者は本紙に「不良施工は申し訳ないが、同様の不良は他の業者にもあり、うちだけが問題とされたのは納得できない」と主張する。現場では、複数の業者が同時に作業を行っていた。問題が発覚した業者とは別の会社の作業員は「手抜きは他社もやった。目の前で見た」と証言した。作業迅速化の優先などが理由とみられる。問題の業者の施工分を除き、比曽地区の仮置き場には今も二万袋以上のフレコンが置かれている。

環境省福島地方環境事務所によると、比曽地区の仮置き場の保管分は今後、中間貯蔵施設(大熊町、双葉町)へ搬出される。現在は全体を遮水シートで覆っており「仮に手抜きフレコンがあっても雨水が入る可能性は低い」とするが、移送中などに雨が降れば作業員が汚染水に接触したり、路上に漏れたりする恐れがある。同事務所は事業者に対し、搬出時にチェックし、問題があれば詰め替えなどを行うよう指示する。

(坪井千隼、小沢慧一)

 

 

手抜き除染袋、飯舘以外も 本紙、南相馬で水漏れ確認

http://www.chunichi.co.jp/article/front/list/CK2018010302000047.html
【中日新聞・一面】2018年1月3日 朝刊

内袋に水がたまったフレコンバッグ=福島県南相馬市で(本紙撮影の動画から)

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東京電力福島第一原発事故に伴う福島県飯舘村の除染現場で、防水用の内袋を閉じていない手抜き除染袋(フレコンバッグ)が大量に見つかった問題で、同様の手抜きフレコンが村の他の現場や、福島県内の別の自治体でも発生していることが、本紙の調査や元作業員らの証言で分かった。一部では汚染された疑いのある雨水が外に漏れているのを確認。早期の帰還を願う住民や現場の作業員にとって高い安全性が求められる除染事業が揺れている。

本紙は昨年十月末~十二月、国発注の除染事業で現在もフレコンが置かれている福島県内の七市町村、計二十カ所の仮置き場や除染現場を調査。敷地外から作業状況や袋の状態をチェックするなどした。

うち南相馬市の「希望の牧場・ふくしま」で十月二十八日、牧場管理者の了解を得て、汚染土壌などが入った百袋の外袋を開けると、三十二袋は内袋が閉まっておらず中身が露出。ほとんどが内部に雨水がたまり、汚染廃棄物を浸していた。外へ水がにじんだり、垂れたりした袋もあった。

これらは大成建設などの共同事業体(JV)が請け負った除染事業で、昨年八月ごろに土壌などを詰めた四千四百袋の一部。環境省福島地方環境事務所によると、既に焼却された分を除く三千八百袋が今も牧場に積まれている。環境省や大成建設によると、施工業者から手抜きフレコンがあったとの報告はないという。

本紙既報の飯舘村のケースでは二〇一五年十月、特定の業者の施工分の三割、千袋に手抜きが見つかっていた。他の事例について、同時期に飯舘村などで除染作業に従事した元作業員の川崎雅幸さん(66)=松山市=は「少なくとも飯舘村と南相馬市の(複数の業者の)計五カ所の現場では、内袋をきちんと閉じていなかった」と証言。一五~一六年に浪江町などで作業した男性(70)=南相馬市=は「少なくとも四カ所で手抜き作業を見た」と話す。

環境事務所の担当者は、希望の牧場での本紙調査について「ここまでの状況は想定していなかった」とコメント。手抜き作業の横行について「内袋をきちんと閉じるのは当然だ」として、全ての元請け事業者に管理の徹底を指示するとしている。

調査の様子を動画でも伝えます。https://youtu.be/rgmRHE5_yXE

 

<解説> 100万袋超の可能性

2018年1月3日 朝刊【中日新聞・一面】
http://www.chunichi.co.jp/article/front/list/CK2018010302000046.html

手抜きフレコン問題は、被災地の住民はもちろん、三兆円を超える公費が投入されている除染事業への国民の信頼を裏切るものだ。

国発注の除染事業でこれまでに使用されたフレコンは九百万袋。うち今回、問題となっている内袋付きは四百五十万袋ある。本紙調査で実際に中身を確認できたのは南相馬市の牧場の一例だけだが、ごく一部の例外とは思えない。この牧場や、二〇一五年の飯舘村の事例での手抜き率はともに三割。仮に全体にあてはめれば、百万袋を超える。

環境省によると、除染事業が始まった当初は内袋のないフレコン(一袋四千円ほど)が主流で、除染現場や仮置き場(一時保管場)に遮水シートをかけ、雨水を防いだ。価格が倍近い内袋付きへの切り替えが始まったのは一四年。以降、環境省の方針で除染現場でのシート掛けは不要とされた。内袋が機能していないのが実態なら、環境汚染が拡大している恐れがある。

フレコン内の放射線量は原発構内と比べれば高くない。だからといって手抜き作業を看過していては、内袋付きに切り替えた意味は何だったのか。国は直ちに管理状況の調査を始めるべきだ。

(社会部・坪井千隼)

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