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小泉氏らゼロ法案 結集後押し 立民・希望・共産前向き

2018年1月11日【東京新聞・核心】

原発ゼロ・自然エネルギー推進連盟(原自連)が「原発ゼロ・自然エネルギー基本法案」を発表した十日の記者会見で、小泉純一郎元首相は国民的な盛り上がりが政治を動かし、脱原発は必ず実現すると強調した。野党各党は、安倍政権が進める改憲や安全保障政策に対しては必ずしも立場が一致しないが、小泉氏の呼びかけで「脱原発」では結集できる可能性がある。 (山口哲人、金杉貴雄)

 

 ■熱 弁

「なぜ原発ゼロをやらないのかと(政府を)追及すれば、自民党もうかうかしていられない。原発ゼロに全力で取り組むなら、われわれはどの政党にも協力する」。原自連顧問の小泉氏は、十日の記者会見で熱弁を振るった。

小泉氏は、脱原発を掲げて細川護照元首相を擁立し敗れた二O一四年の東京都知事選を振り返り「脱原発を求める(国民の)声は予想以上であの熱に触れ逆にエネルギーが出た。原発ゼロの国民のエネルギーは減るどころか高まっている」と強調。「今年は国会で国民の声を受け止める政党が必ず出てくる。熱気、意思で政治が変わる」と予言した。

小泉氏は脱原発勢力の結集を狙う。連携の第一候補は立憲民主党だ。同党も東京電力福島第一原発事故から七年となる今年三月上旬までに「原発ゼロ基本法案」を提出しようと検討を進めている。

原自連は十日、国会内で立民幹部らと意見交換し、通常国会での法案提出での協力を確認。エネルギー危機の際は原発稼働を認める立民の法案骨子に対し「原発なしでやってきた現実の重みがある。直ちにゼロと言うべきだ」と注文もつけた。逢坂誠二エネルギー調査会長は「即時ゼロの思いは一緒だ」と応じた。

 

 ■ 協 力

原自連の中心メンバーはこの日、与野党各党を回り協力を要請。希望の党や共産党も、前向きに検討する考えを伝えた。

原発政策は、野党内で意見の隔たりが小さい。再稼働を条件付きで容認する希望は「三O年まで」、同じく民進党も「三0年代」に、それぞれ原発ゼロを実現するとしている。共産、自由、社民各党は再稼働も認めない主張だ。

改憲勢力の一角を占め、「共謀罪」の趣旨を含む改正組織犯罪処罰法に賛成するなど安倍政権に近い立場をとる場合が多い日本維新の会も自然エネルギー推進で原発を淘汰-とうた-する考えだ。

 

 ■多数意見

衆参両院は与党が過半数を占める。原自連の働きかけを受けた野党が結集して法案を提出しても、与党が賛成しなければ成立する可能性は低い。
小泉氏は、それでも法案を提出し政権を追及することで現状は変わると主張。「国民全体の状況を変えることに力を注ぐ。自民党が長年政権を担当してこられたのは、多数意見を聞いてきたから。各議員もいずれこの重大問題に気づくだろう」と指摘した。

(写真)
「原発ゼロ・自然エネルギー推進連盟」との対話集会であいさつする立憲民主党の福山幹事長(右から2人目)=10日午後、東京・永田町の衆院第1議員会館で

 原発を巡る与野党と「原自連」の考え

小泉元首相らの「原自連」
原発ゼロ・自然エネルギー基本法案
全原発は即時廃止し、自然エネルギーに全面転換
協力↓要請
立憲民主党   「原発ゼロ基本法案」を3月までに国会提出予定。エネルギー危機以外は再稼働認めず、速やかに全原発を廃止
希望の党     2030年までにゼロ        ※
民主党      30年代にゼロ            ※
共産党      再稼働も認めず即時ゼロに   ※
日本維新の会   既存原発フェードアウト      ※
自由党      再稼働も認めず即時ゼロに   ※
社民党      再稼働も認めず早期の脱原発 ※
安倍政権(与党) 原発は重要なベースロード電源。30年度に原発は全電力の2割(30基)ほど稼働を想定 ※

※各党の公約や政府のエネルギー基本計画などから

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 「原発ゼロ法案」主な内容

原発ゼロ・自然エネルギー推進連盟が十日発表した「原発ゼロ・自然エネルギー基本法案」の骨子の主な内容は次の通り。

【目的】
全ての原発廃止及び自然エネルギーへの全面転換の促進に関する基本的な理念及び方針を明らかにし、国等の責務及び推進体制等を定め、わが国のエネルギー構造の転換を実現

【基本理念】
原発は極めて危険かつ高コストで重要性も失っている。全原発は即時廃止し、自然エネルギーへ全面転換

【基本方針】
運転中の原発は直ちに停止
停止中の原発は今後一切稼働させない
新増設は認めない
使用済み核燃料の最終処分計画を国の責任で策定
核燃料サイクル業から撤退。再処理工場等は廃止
原発輸出を中止
自然エネルギー割合を2030年までに50%以上、50年までに100%とする

【国等の責務】
国は、全原発廃止と自然エネルギーへの全面転換を実現する責務を負う。そのため法制、財政、税制、金融上その他の措置を講ずる関連地域及び企業の雇用確保、関係自治体の経済財政対策を行う
公共施設の省エネルギー及び自然エネルギー利用の義務化等
電力事業者は、国及び地方自治体の施策推進に全面的に協力する責務を負う

【推進体制】
内閣に、首相を長とし関係閣僚で構成する推進本部及び有識者等で構成する推進会議を設置

  原自連の会見要旨

原発ゼロ・自然エネルギー推進連盟(原自連)が十日に行った記者会見の主なやりとりは次の通り。

【冒頭発言】
河合弘之幹事長(弁護士) 全原発の廃止、自然エネルギーへの全面転換に関する基本法案をまとめた。

【質疑応答】

記者 再稼働を進める安倍政権への見方は。

小泉純一郎顧問(元首相)   安倍晋三首相に原発ゼロを進めるべきだと言っているが、今までの言動を見ると、安倍政権で進めるのは難しい。自民党は首相が(再稼働を)進めているから仕方ないと思っている議員が多いだけ。来るべき首相が原発ゼロを進める方針を出せば、自民党はがらっと変わる。

記者 法案の目標はハードルが高いと思うが。

小泉氏 高くない。日本は実質的に原発ゼロでやっていけると証明した。自民党や政府は事故後、原発依存度を減らすと言いながら、最近は逆のことをやっている。しかも原発を輸出するという。こういう構図には憤りを感じる。

記者 立憲民主党との連携は。

小泉氏 どの政党であれ、原発ゼロ、自然エネルギー推進に全力で取り組むなら協力したい。

記者 実業界へのメッセージは。

吉原毅会長(城南信用金庫顧問)  自然エネルギーへの転換で日本経済は発展できる。テロで原発が狙われることもなくなる。経済界としても大ビジネスチャンスと捉えるべきだ。

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原発即時ゼロ法案 小泉元首相ら野党連携へ

http://www.tokyo-np.co.jp/article/politics/list/201801/CK2018011102000129.html
【東京新聞・政治】2018年1月11日 朝刊

記者会見に臨む小泉元首相(右手前)ら。一番奥は細川元首相=東京・永田町の衆院第1議員会館で(小平哲章撮影)
写真

脱原発や自然エネルギーを推進する民間団体「原発ゼロ・自然エネルギー推進連盟(原自連)」は十日、国内原発の即時廃止を目指す「原発ゼロ・自然エネルギー基本法案」の骨子を発表した。国会内で記者会見した顧問の小泉純一郎元首相は「安倍政権で原発ゼロを進めるのは難しい」と断言し、他の勢力を結集し脱原発を進める意欲を強調した。同様の法案提出を目指す立憲民主党など野党も連携する意向で、国会内外で脱原発に向けた法案提出の機運が高まった。 (大野暢子)

 

法案の「基本方針」には、運転中の原発を直ちに停止し、停止中の原発は今後一切稼働させないと明記。原発の新増設も認めず、核燃料サイクル事業からの撤退も盛り込んだ。

今後は太陽光や風力などの自然エネルギーに全面転換し、二〇三〇年までに全電力の50%以上、五〇年までに100%を目標に掲げる。国には「責務」として、目標の達成に必要な措置を求めた。今後、各政党に法案への賛同を促し、二十二日に召集予定の通常国会への提出を目指す。

脱原発を巡っては、立憲民主党が同様の法案提出を目指す。原自連は法案発表後、立憲民主幹部らと意見交換して連携を確認。今後、希望の党など野党各党との意見交換も予定する。

安倍政権は原発再稼働を進めてきたが、東京電力福島第一原発事故から三月で七年を迎えるのを前に、政党と民間との間で脱原発を目指す連携が再び強まる。

小泉氏は十日の会見で、「自民党には安倍晋三首相が(原発政策を)進めているから仕方ないなという議員が多いだけ。来るべき首相が原発ゼロを進める方針を出せば、がらっと変わる。野党がどう出るかだ」とも指摘し、自民党総裁選や国政選挙での原発政策の争点化に期待を寄せた。

原自連会長で城南信用金庫顧問の吉原毅氏も会見で自然エネルギーへの転換に関して「経済界としても大ビジネスチャンス。テロで原発が狙われることもなくなる」と訴えた。

原自連は昨年四月に発足し、二百以上の民間団体や企業などが加盟。十日の会見には小泉氏とともに顧問を務める細川護熙(もりひろ)元首相らも出席した。

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◆経団連次期会長「再稼働は必須」

国内の原発四十基のうち、現在稼働しているのは関西電力高浜原発3、4号機(福井県)と、九州電力川内(せんだい)原発1、2号機(鹿児島県)の計四基。政府は原発を「重要なベースロード電源」と位置付け、他の原発も再稼働させる方針。経済界も「再稼働は必須」と安倍政権に歩調を合わせる。

稼働中とは別の十基について、原子力規制委員会が新規制基準に適合していると判断し、このうち関電大飯原発3、4号機(福井県)と九電玄海原発3、4号機(佐賀県)が三月以降に再稼働する見通し。

一方、適合と判断された四国電力伊方原発3号機(愛媛県)については先月、広島高裁から今年九月末までの運転を禁じる仮処分命令が出された。伊方を含めて全国十四の原発を巡り、運転差し止めを求める訴訟が起こされている。

菅義偉(すがよしひで)官房長官は十日の記者会見で「安全性の確認された原発のみ、地域の理解を得ながら再稼働を進める政府の一貫した方針は変わらない」と強調した。

経団連の次期会長に内定した原発メーカー日立製作所の中西宏明会長も九日、再稼働は必須との考えを記者団に示した。 (生島章弘)

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脱原発基本法案 丁寧な議論あってこそ

http://www.tokyo-np.co.jp/article/column/editorial/CK2018011202000165.html
【東京新聞・社説】2018年1月12日

小泉純一郎元首相らが顧問を務める「原発ゼロ・自然エネルギー推進連盟」の脱原発法案は、原子力政策のあいまいさに投じる一石だ。あいまいさを払拭(ふっしょく)するには国会での丁寧な議論が欠かせない。

原自連の「原発ゼロ・自然エネルギー基本法案」は、運転されている原発の即時停止、再稼働、新増設の禁止をうたい、二〇五〇年までに電力を100%自然エネルギーで賄う目標を明示した。

二十二日に召集される通常国会に超党派で提案できるよう、与野党を問わず、働き掛けを始めている。

法案作成の第一の狙いは、脱原発、省エネ推進を改めて国会の議論の俎上(そじょう)にのせて、さらには国民的議論を巻き起こし、その声を引き出すことにあるという。

原発に関する国の姿勢は、3・11を経てなお、あいまいだ。

政府は「原発への依存を可能な限り低減させる」と言いながら、原発をいまだ「重要なベースロード電源」と位置付けており、三〇年時点で電力の20~22%を原発に依存する方針だ。

今年はエネルギー基本計画改定年。有識者会議が三月をめどに見直し案をまとめているものの、原子力の位置付けが大きく変わる様子はない。

国の方針があいまいだから事業者も原発からの撤退を躊躇(ちゅうちょ)する。安全対策に膨大な費用がかかり、自然エネルギーに回るべき資金が回らない。パリ協定をてこにエネルギー大転換が加速する、世界の流れに取り残されることになる。

そもそも原発推進に関しては、あいまいなことが多すぎる。

原発の法定寿命は四十年。二割強の依存を続けるためには、相当数の新増設が必要だ。どこに、どうやって造るのか。国民がそれを許すのか。

3・11から七年。再稼働は、なし崩しに進んできた。だが誰も安全を保証するとは言っていない。

核のごみをどうするか。国民の過半が反対する中で、なぜ国は推進の旗を降ろさないのか。

国会で丁寧な議論を重ね、国民の疑問に答え、あいまいさをぬぐい去らないと、私たちは未来のエネルギーを選べない。

原自連だけではない。立憲民主党の「原発ゼロ基本法案」、原子力市民委員会の「原発ゼロ社会への道2017」など、年末から新年にかけて、国際社会の流れに沿った具体的提案が相次いだ。

真正面の議論に期待して、国会を見守りたい。

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カテゴリー: 原発ゼロ法案, 新エネルギー, 中日東京新聞・特報 タグ: パーマリンク