1/25文大統領の主張を考える 「人権問題」を前面に/「慰安婦問題の日韓合意は誤り」「心尽くした謝罪を」」【東京新聞・特報】

この国の恥ずべき首相たちは何を考え違いしているのだろう。

声明「『日韓合意』は解決ではない 政府は加害責任を果たせ」
http://www.restoringhonor1000.info/
1/23/2018「日本軍『慰安婦』問題解決全国行動」

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文大統領の主張を考える

 「人権問題」を前面に

  「慰安婦問題の日韓合意は誤り」

   「心尽くした謝罪を」

2018年1月26日【東京新聞・こちら特報部】

韓国の文在寅(ムンジェイン)大統領は年頭記者会見で、慰安婦問題の日韓合意を「誤り」と述べ、解決には日本側が「真実を認める」「心を尽くして謝罪」などが必要との見解を示した。この新方針に対し、日本政府はかたくなに合意の履行を求め、国内世論も、韓国側に冷淡な反応が大勢を占める。だが、国連の各委員会は、合意後の日本政府の対応をたびたび問題視してきた。果たして日本は、合意を十分に履行していると言えるのか。文大統領の主張を検証する。 (片山夏子、佐藤大)

 

「探った問題は解決しなければならない」。韓国の文在寅大統領は十日、慰安婦問題に関する日韓合意についてこう述べ、「日本に対して真実と正義の原則に立脚した解決を促していく」と新方針を発表した。

文大統領は日本に再交渉は求めないものの、「被害者を排除して政府関で条件をやりとりする方式では問題は解決できない」と合意当時の朴槿恵-パク・クネ-前政権を批判。「日本が真実を認め、心を尽くして謝罪し、教訓とするときに元慰安婦も日本を許すことができ、それが完全な慰安婦問題の解決だ」との見解を示した。

これに対し、安倍晋三首相は「韓国側が一方的にさらなる措置を求めることは全く受け入れられない。日本側は約束についてすべて誠意を持って実行している」と強く反発。菅義偉官房長官も「日韓合意を一ミリたりとも動かす考えはない」と繰り返した。

そもそもニO一五年十二月に結ばれた日韓合意とは、どのような内容だったのか。当時の岸田文雄外相は慰安婦問題について「軍の関与の下、多数の女性の名誉と尊厳を傷つけた。この観点から(日本政府は)責任を痛感している」「全ての元慰安婦の方々の心の傷を癒やす措置を講じる」と発言。韓国側は、ソウルの日本大使館前の慰安婦少女像の撤去について「解決に努力する」とした。そして元慰安婦の支援財団の設立を前提に、この合意が慰安婦問題の「最終的かつ不可逆的な解決」とされた。

合意後、安倍首相は朴前大統領との電話会談で「元慰安婦の方々の筆舌に尽くしがたい苦しみを思うと心が痛む。日本国の首相として心からおわびと反省の気持ちを表明する」と述べた。日本はその後、「元慰安婦の方々の名誉と尊厳の回復に資する、心の傷を癒やすための措置、医療サービス提供」のため、支援財団に十億円を拠出した。

一方、和解ムードに水を差す言動も目立った。直後の一六年一月、自民党の桜田義孝元文科副大臣が「(慰安婦は)職業としての売春婦だった」と発言し、党内でも問題視された。同二月の国連女性差別撤廃委員会の対日審査会合で、外務省の審議官が「軍や官憲による強制連行を確認できるものではない」と述べ、委員から「政府の態度は矛盾している」と批判された。支援財団は安倍首相に元慰安婦へ謝罪の手紙を求めたが、安倍首相は「毛頭考えていない」と短否した。

こうした日本側の姿勢に対して、国連は厳しい目を注いでいる。

女性差別撤廃委員会は一六年三月、日本政府の取り組みはなお不十分と指摘。日韓合意を実行する際は、元慰安婦の意見に十分配慮するよう求めた。同じ時期、自由権規約委員会は日韓合意を「大きな進展」としつつも、人権侵害行為の調査や加害者の刑事責任の追及などは「努力が見られない」とした。さらに、翌一七年五月、拷問禁止委員会は「被害者への補償や名誉回復、再発防止策が十分とはいえない」と指摘、合意の見直しを勧告した。

「被害者中心の対応必要」

 国連は日本の姿勢に厳しい目

  新方針「国際的な潮流くむ」

 

なぜ国連は慰安婦問題に厳しい目を注ぐのか。それは、慰安婦は「戦時性暴力」被害の一つであり、国際的には、戦争犯罪などと同様に重い「人道に対する罪」に当たるとの指摘が、以前からあるからだ。最近では二O一三年、ニューヨーク州上下両院で慰安婦制度は「人道に対する罪」との決議が採択された。

「人道に対する罪」は一九九八年に国連が採択した国際刑事裁判所(ICC)の設立条約(ローマ規程)で定義され、「性的暴力」も含まれる。裁判の対象はローマ規程が発効した0二年以降の犯罪に限られるが、神奈川大の阿部浩己教授(国際人権法)は「国際刑事裁判所で裁判ができないということと、人道に対する罪であるということは別問題だ」と指摘する。

阿部教授は、そもそも日韓合意は「問題の本質的な解決には全くつながらない」と指摘する。「慰安婦問題は、問題が浮上した九0年代から一貫して人権問題だった。個人と国家の関係で問題が浮上したのに、国家と国家の関係で処理をしようとした。これでは解決になるはずかない。国際的な人権保障の枠組みで見ると、日韓合意はおよそ慰安婦問題に関する『最終的かつ不可逆的な解決』にならないのは常識だ」

その上で、韓国政府の新しい方針は「国際的な人権保障の潮流を組み入れた形で慰安婦問題に取り組んでいくというメッセージであり、国際人権法に照らすと、方向としては正しい」と指摘。「日本政府としては国家と国家で合意したのに、という反応が出てくるのは当然だが、実は日韓合意は国際法上の条約ではない。あたかも韓国が『国際法上の義務を果たしていない』というイメージが日本に広がっているとすれば間違いだ」と懸念する。

東京造形大の前田朗教授(戦争犯罪論)は「政権が交代すれば外交方針が逆転することは珍しくない」と指摘し、トランプ米大統領の環太平洋連携協定(TPP)からの離脱表明を挙げる。安倍首相が「トランプ大統領を説得する」としながらいまだに覆せず、マスコミもトランプ氏を激しく批判しなかった経緯を指摘し、「日本政府もマスコミも、米国相手では途方に暮れるだけなのに、韓国相手になると居丈高に非難を浴びせている」と批判する。

「韓国の前政権が合意したのに、という問題は当然あるが、大本にあるのは合意が国際人権法に合致していないということ。国際人権法の立場から、被害者への謝罪や補償を求められてきたのに、それを全然守っていない」と指摘する。

元慰安婦の女性を支援する市民団体「日本軍『慰安婦』問題解決全国行動」は二十三日、韓国政府の新方針を受けて声明 を発表した。その中で、日韓合意について「具体的かつ正しい事実認識の表明もないまま『反省』と『おわび』というワードが発せられた」後、日本政府から「強制連行を示す資料は発見されていない」などの発言が繰り返され、「法的責任の履行を求める被害者たちに冷や水を浴びせ続けた」と批判。韓国政府の新方針は国際人権基準に沿った「被害者中心アプローチ」に貫かれており、日本政府に「さらなる措置」を求めているわけではないと主張する。

二月末までインターネット上でこの声明への賛同を募り、日本政府に提出する。同団体の共同代表の梁澄子-ヤン・チンジャ-さんは、あらためて日本政府に加害責任に向き合うよう促す。「当事者たちに伝わるような謝罪をしていれば、そもそも反発はおきていない。日本政府の態度は『おわびや反省を言ってやった』とも映り、侮辱的に感じる人もいる。大半の人が約束を破った韓国が悪い、と考えている今の日本の世論を動かすことは簡単ではないが、粘り強く訴えていきたい」

((((デスクメモ))))
「名誉と尊厳を深く傷つけ」られた場合、人づてに聞いた加害側の謝罪と、資金提供だりで「心の傷を癒やす」のに十分だろうか。被害側が真に納得する謝罪ありきが物事の道理ではないのか。文大統領の姿勢に疑問は多々ある。だが、その主張中の真理から目を背けではならない。(典) 2018・1・26

10日、ソウルの韓国大統領府で年頭記者会見を行う文在寅大統領=共同

(上)韓国・釜山の日本総領事館前で慰安婦問題を巡る日韓合憲の破棄を訴える市民団体
(下)ソウルの韓国外務省で共同記者会見を終え、握手する岸田外相(左) と韓国の尹炳世外相=いずれも2015年12月28日(共同}

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