【3/18中日新聞・一面】昭恵氏、森友に言及せず 東海市で対談イベント「過去を後悔することも」【3/15東京新聞・特報】証人喚問 私人8割 昭恵氏なぜ呼ばぬ

昭恵氏、森友に言及せず 東海市で対談イベント「過去を後悔することも」

http://www.chunichi.co.jp/article/front/list/CK2018031802000083.html
【中日新聞・一面】2018年3月18日 朝刊

対談する昭恵氏=17日午後、愛知県東海市で(佐藤哲紀撮影)
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障害者福祉をテーマにした対談イベントの会場を後にする安倍昭恵氏を乗せた車=17日午後、愛知県東海市で(佐藤哲紀撮影)
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財務省の決裁文書改ざん問題で、野党が証人喚問を求めている安倍晋三首相の妻昭恵氏が十七日、愛知県東海市で障害者福祉をテーマにした対談イベントに出席した。改ざんが明らかになって以降、昭恵氏が公の場に姿を見せたのは初めてだが、改ざんを含む森友問題や政治状況には一切、言及しなかった。

昭恵氏は、脊髄性筋萎縮症で寝たきり生活を送りながら名刺作成会社を経営する同市の佐藤仙務(ひさむ)さん(26)と約一時間、対談した。フェイスブックで知り合い、数年間の親交があるといい、主に昭恵氏が聞き役になる形で進行。昭恵氏は「私も過去を後悔したり、反省したりする」などと語った。

イベントには事前に申し込んだ六百人が参加。新聞やテレビ、週刊誌の記者やカメラマンら五十人以上が改ざん問題についての昭恵氏の受け止めを聞こうと集まった。だが昭恵氏は、対談後は報道陣の前に姿を見せず、車に乗り込んで会場を去った。

「昭恵さん 国会でも話して下さい」と書かれたプラカードを手に沿道に立った名古屋市の主婦(67)は「証人喚問は絶対に必要。自分の言葉で説明すべきだ」と話した。

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証人喚問 私人8割 昭恵氏なぜ呼ばぬ

2018年3月15日【東京新聞・こちら特報部】

森友学園の土地売却をめぐる問題は、決裁文書の改ざんが明らかになり、ますます混迷の度合いを深めている。真相を明らかにするには当事者に聞くしかない。キーパーソンの一人が首相夫人の安倍昭恵氏だ。政府、与党は「公人でなく私人」と、国会招致を拒否し続けている。本当に「私人」は招致できないのか。過去の証人喚問を振り返ると、呼ばれた人の八割を「私人」が占めていた。 (白名正和、大村歩)

 

なぜ明恵氏を国会に呼ばぬ?

 過去の証人「私人」8割

   ロッキードでは衆院で24人

一般人になったので、(国会招致は)むしろ難しくなった」。佐川宣寿氏が国税庁長官を辞任した九日夜、自民党の森山裕国対委長は記者会見で述べた。

一年前の閣議決定で、安倍内閣は「公職にある人」を「公人」、そうでない人を「私人」と定義した。つまり議員と公務員以外は、ほとんど私人。安倍内閣は「私人だから」と昭恵氏の招致を拒否している。森山氏はこういったことを念頭に発言したのだろう。

ただ、私人の招致を禁じる法律はない。逆に、証人喚問について定めた議院証言法には「何人でも、これに応じなければならない」とある。証人ならば私人でも応じるのは義務で、拒否すれば刑事罰もある。

証人喚問について参院議員の山本太郎・自由党共同代表がツイッターで「証人の大半が民間人だった」という内容を発信した。本当か。「こちら特報部」でも衆参両院から過去の証人名簿を入手し、集計した。

衆院の名簿に記載されているのは、ロッキード事件が審議された一九七六年二月以降の延べ七十七人。うち現職の国会議員は中曽根康弘氏や竹下登氏ら延べ十人だった。公務員は東京都労働経済局長ら二人。彼らは公人だ。元政治家や元官僚は十三人。ヤミ献金問題の金丸信・元衆院議員や防衛汚職事件に関係した守屋武昌・元防衛次官らだ。

それ以外の五十二人が民間人で67・5%を占める。政府の定義に従い元職も私人扱いにすると、84・4%になる。

参院の名簿には一九五七年以降の証人、延べ五十七人が載っていた。

公人は、二千人以上から九十三億円を集めた「オレンジ共済組合」を主宰した友部達夫氏ら当時の議員計八人。元議員や元官僚は五人。民間人は四十四人で全体の77・2%。元職を含めると86・0%になる。

つまり、両院ともむしろ私人ばかりを証人喚問していたことになる。

特にロッキード事件では多くの私人が招致された。衆院では二十四人に上る。七六年二月、国際興業社主の小佐野賢治氏は議場で「記憶にございません」を連発。この後、追及をかわす決めぜりふになった。

私人は証言に重圧を感じるようだ。七九年二月にダグラス・グラマン事件で招致された日商岩井副社長の海部八郎氏。宣誓書に署名する手がぶるぶると震える姿がテレビ中継された。

五O年には、共産党書記長だった徳田球一氏の要請でシベリア抑留者の帰還が遅れたとされる「徳田要請問題」を巡り、通訳の男性が喚問後に自殺した。「私人の喚問は慎重であるべきだ」と考えさせられるのと同時に、国会の判断で社会的地位が高くない人も招致できることを示している。

 「公共の利害」 判断基準に

  首相の公務を夫人が補助も

   森友問題国会が究明を

民間人ばかりが証人になる理由を、政治評論家の森田実氏は「証人喚問は昔から全会一致が原則となっている。与党が数の力で野党を攻撃できないようにする一方で、政治家がかばい合う手段にもなっている。逆に民間人は昔からバンバン呼ばれる」と説明する。

現役の官僚が見当たらないのは「自民党は役人を大事にしてきた。役人の代わりに政治家が証人に出る姿勢を示し、支持につなげてきたからだ」という。「ただ、これは以前の話。今は麻生さんが『佐川のせい』と繰り返すなど、役人を守る伝統は失われている」

過去の例から明らかなように、私人であっても証人喚問に問題ない。とはいえ、首相夫人の昭恵氏を「私人」と扱うのは正しいのだろうか。

「公人と私人を分ける憲法の規定は、公務員の憲法尊重擁護義務を定めた九九条しかない。その点では、公務員ではない安諸首相夫人は私人という説明は、間違っていない」。中央大の宮下紘准教授(憲法学)は指摘する。

ただし、それは原則論だ。「名誉棄損-きそん-事件などでの判例では、その人の職務や活動などが公共の利害にかかわるかどうかが公人か私人かの判断基準になる。これは学説でも通説だ」と話す。同様に証人喚問でも証人が「公共の利害」にかかわるのかどうかが基準になる、と宮下氏は言う。

「そもそも国政調査権を定めた憲法六二条にも公人か私人かの切り分けはなく、数多くの非公務員が証人喚問を受けてきた。安倍首相夫人は私人だが、『総理公務補助』という公的な性格を持った職務を担っているのであり、その活動は公共の利害にかかわると考えられる」。ならば、昭恵氏を証人喚問することに、何の問題もない。

一方、自民党側は昭恵氏の喚問を避けたいためか、財務省に改ざんの責任を負わせようとやっきだ。しかし、成蹊大の高安健将教授(政治過程論)は「首相や夫人の名前を削除するという改ざんは、財務省の組織防衛とは考えられない。政治的プレッシャーを感じたのだろう。安倍政権では政治家が発言し、その発言に寄せていくように、官僚が事実をねじ曲げる構図がみられる」と指摘する。

高安氏によれば、問題なのは国有地売却という政治決定をする際に、安倍首相や昭恵氏が関わったかどうかで、公人私人の別は関係ない。結果的に問題のある土地取引が発生したなら「安倍首相と昭恵氏には結果的な責任がある」と話す。

森友学園の件について、昭恵氏はロをつぐみ、安倍首相が「妻に確認したところ」と疑惑を否定している。その昭恵氏のフェイスブックに最近、「野党のバカげた質問ばかりで、旦那さんは毎日大変ですね。国会には、世間には先を読めない人間が多過ぎますね」と投稿があった。

その後、明恵氏のアカウントから「いいね」が押された。どうやら、この問題に関心がないとか、言いたいことがないとかいうわけでもなさそうだ。

ならば、夫任せで否定を続けるのでなく、国会で自ら説明したらどうか。

慶応大教授の金子勝教授(経済学)は訴える。

「安倍首相は『妻は言ってない、やってない』と言うが、真実かどうか分からない。これでは、いつまでたっても真相究明はできない。安倍首相自ら昭恵氏の証人喚問を実現できるようにすべきだ。公文書の改ざんというあり得ない手段で国会全体がだまされた。だから国会は、与野党関係なく立法府の責任として、政治的にどのような経緯でこんなことが起きたのかを明らかにしなければならない」

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衆院の証人名簿

メラニア米大統領夫人と毛筆した「平和」の文字を見せる安倍昭恵首相夫人(手前右)=2017年11月6日、東京都中央区で

参院予算委で頭を下げる安倍首相。左端は麻生財務相=14日、国会で

((((デスクメモ))))
怒意(しい)的な労働時間の調査、改ざんされた決裁文書と国会はでたらめなデータに踊らされてきた。「国権の最高機関」がとてつもなく軽視されていることに、ただ驚くばかりだ。さすがに与党にも激怒している議員はいるだろう。そろそろ国民の代表の力を見せてもらいたい。(裕) 2018・3・15

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