3/23九電、玄海3号機を再稼働 離島避難課題【東京新聞・社会】

九電、玄海3号機を再稼働 離島避難課題

http://www.tokyo-np.co.jp/s/article/2018032390135323.html
2018年3月23日 13時53分【東京新聞・社会】

 

九州電力は二十三日、玄海原発3号機(佐賀県)を七年三カ月ぶりに再稼働させた。周辺では、三十キロ圏内にある四市が再稼働に反対を表明。さらに、本土との間を橋で結ばれていない十七の離島に一万九千人が暮らす。重大事故時の避難に課題を残したままの再稼働となった。

東京電力福島第一原発事故後に策定された新規制基準に適合した原発の再稼働は、五原発七基目。新基準に適合した玄海4号機も五月に再稼働する予定。

玄海3、4号機は昨年一月に原子力規制委員会の審査で新基準に適合。同年四月までに、佐賀県と原発が立地する玄海町が再稼働に同意した。しかし、三十キロ圏内にある佐賀、長崎、福岡の三県の八市町のうち、佐賀県伊万里市と長崎県の壱岐、松浦、平戸の三市が再稼働に反対している。

福島事故後、三十キロ圏内の自治体には事故時の避難計画策定が義務付けられた。玄海の圏内人口は二十六万人。離島が二十あり、そのうち十七島は本土と結ぶ橋がなく、住民は一万九千人に上る。ほかに橋一本で本土とつながる島が四つあり、約七千人が暮らす。

再稼働に反対する長崎の三市は離島が多く、避難計画の実効性に不安を抱える。離島からの避難は船やヘリコプターを使うが、荒天時は使えない。離島で人口最多の一万五千人が住む壱岐島(壱岐市)では、島北部に避難する計画。風向きによっては放射性物質が北上し、全島民避難の事態もあり得る。全島民が本土に避難するためには、船七隻で五日半もかかる計算だ。

本土との間に橋がある島では車で避難するが、ほとんどが一本道。福島事故が証明したように渋滞は必至で、想定以上の時間がかかる。

◆電力余りでも再稼働次々

九州電力玄海3号機が再稼働し、運転中の原発は西日本にある四原発五基となった。十四日には関西電力大飯3号機(福井県)が再稼働したばかり。五月には、玄海4号機と大飯4号機が運転を再開する。太陽光など再生可能エネルギーの普及と節電意識の高まりもあり、電力は余り気味。それでも政府と電力会社は原発再稼働を推し進めている。

再稼働のためには、原子力規制委員会の審査を受けて、原発の新規制基準に適合しなければならない。これまでに規制委は七原発十四基を適合と判断。このうち関西電力が三原発七基と半数を占めている。

再稼働に歯止めをかけることができるのは、今のところ原発の立地自治体の首長と司法の判断だ。

東京電力柏崎刈羽6、7号機(新潟県)は新基準に適合したが、県知事が慎重姿勢。再稼働に必要な地元同意の見通しがない。

また、再稼働後に定期検査で停止していた四国電力伊方3号機(愛媛県)は昨年十二月、広島高裁から九月末までの期限付きで運転禁止の仮処分命令を受けた。異議が認められない限り、期限内の再稼働はない。

大飯3、4号機には、福井地裁が運転停止を命じる判決を出したが、確定していないため効力が生じていない。控訴審は結審しており、判決の行方が注目されている。 (小川慎一)

<玄海原発> 佐賀県玄海町にある九州電力の加圧水型軽水炉。1号機は1975年、2号機は81年、3号機は94年、4号機は97年に運転を始めた。3号機は2009年にウラン・プルトニウム混合酸化物(MOX)燃料を使ったプルサーマル発電を日本で初めて開始。2、3号機は東日本大震災前に定期検査で停止。1、4号機も11年12月に定期検査で停止。運転開始後40年が経過した1号機は15年4月に運転を終え、九電が廃炉を決めた。

(東京新聞)

九州電力玄海原発3号機(右)と4号機=23日午前

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