7/5大飯原発 運転認める 高裁支部判決 差し止め取り消し【日刊県民福井/東京新聞・社説/毎日新聞・福井/NHK】

大飯原発 運転認める 高裁支部判決 差し止め取り消し

http://www.chunichi.co.jp/kenmin-fukui/article/kenmin-news/CK2018070502000231.html
2018年7月5日【日刊県民福井】

運転差し止めが認められず「不当判決」の垂れ幕を掲げる原告の人たち=4日、金沢市の名古屋高裁金沢支部前で(西浦幸秀撮影)
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「新基準 不合理でない」

 判決骨子

・一審判決中、関西電力の敗訴部分を取り消し、住民側の請求を棄却する
・大飯3、4号機に住民側の人格権を侵害する具体的危険性はない
・新規制基準や、大飯3、4号機が新基準に適合するとした原子力規制委員会の判断iに不合理な点は認められない
・関電が策定した基準地震動が過小だとは言えない
・2基の危険性は社会通念上無視し得る程度にまで管理・統制されている

関西電力大飯原発3、4号機(おおい町)の運転差し止めを住民らが求めた訴訟の控訴審判決が四日、名古屋高裁金沢支部であった。内藤正之裁判長は「新規制基準に適合するとした原子力規制委員会の判断に不合理な点は認められない。大飯原発の危険性は社会通念上、無視しうる程度にまで管理・統制されている」と述べ、運転差し止めを命じた一審福井地裁判決を取り消し、住民側の請求を棄却した。

二〇一一年三月の東京電力福島第一原発事故後の原発訴訟で、高裁判決が出たのは初めて。

控訴審の争点は、安全対策の前提として関電が想定している地震の揺れの大きさ(基準地震動)だった。元規制委員長代理の島崎邦彦東京大名誉教授(地震学)が住民側の証人として出廷し「過小評価の可能性がある」と主張したが、内藤裁判長は「活断層の断層面積は詳細な調査を踏まえ大きく設定しており、過小であるとは言えない」と退けた。

一四年五月の福井地裁判決は「生命を守り生活を維持するという根幹部分に対する具体的な侵害の恐れがあるときは、差し止めを請求できる。多数の人格権を同時に侵害する性質があるとき、差し止めの要請が強く働くのは当然だ」と指摘。関電の地震対策には構造的な欠陥があるとして住民側の主張を認めていた。

内藤裁判長は、現状の法制度が原発の利用を認めていることに触れ「福島原発事故の深刻な被害に照らし、原発を廃止・禁止することは大いに可能であろうが、その当否の判断はもはや司法の役割を超え、国民世論として幅広く議論され、立法府や行政府による政治的な判断に委ねられるべきだ」と述べた。

大飯原発3、4号機は、規制委による新規制基準への適合審査を経て、今春から再稼働している。

大飯原発3、4号機 関西電力がおおい町に持つ加圧水型軽水炉。3号機は1991年、4号機は93年に営業運転を始めた。出力は各118万キロワットで、関電の原発で最大。東京電力福島第1原発事故後、国内の全原発が停止する中、当時の民主党政権が決めた暫定基準に基づいて唯一再稼働し、2013年9月に定期検査で停止した。昨年5月、新規制基準に基づく原子力規制委員会の審査に合格し、同11月に西川一誠知事が再稼働に同意。3号機は今年3月、4号機は5月にそれぞれ再稼働した。

安全性、理解された結果

関西電力のコメント 控訴して以降、一審判決が合理性を欠くことを指摘するとともに、大飯3、4号機の安全性が確保されていることについて、科学的・専門技術的知見に基づき、改めて丁寧な説明を行ってきた。裁判所に理解された結果と考える。

責任放棄のひどい判決

住民側弁護団の島田広弁護団長の話 あまりにひどい判決だ。主体的に原発の安全性を審査していない。科学者の証人尋問を実施し、審理を尽くすべきだったのに、強引に審理を打ち切った。「具体的な危険はないと言いうる」という判断は恐るべき安全軽視であり、司法の責任放棄だ。

 

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大飯原発控訴審 司法は判断を放棄した

http://www.tokyo-np.co.jp/article/column/editorial/CK2018070502000183.html
2018年7月5日【東京新聞・社説】

住民の「人格権」を尊重し、関西電力大飯原発3、4号機の運転差し止めを認めた一審の判断は、いともあっさり覆された。「原発の是非は政治に委ねる」という裁判所。一体誰のためにある?

「福島原発事故の深刻な被害の現状に照らし、原発そのものを廃止・禁止することは大いに可能であろうが、その当否を巡る判断はもはや司法の役割を超え、政治的な判断に委ねられるべきだ」と名古屋高裁金沢支部。結局は判断の放棄であろう。

福島の悲惨な現状を認めた上で、判断を放棄するのであれば、「司法の役割」とは何なのか。

二〇一四年の福井地裁判決は、憲法一三条の幸福追求権などに基づく人格権を重んじて「具体的危険性が万が一でもあれば、差し止めが認められるのは当然だ」と言いきった。

福島原発事故のあと、初めて原発の運転差し止めを認めた画期的な判断だった。

高裁はこれを「内在的な危険があるからといって、それ自体で人格権を侵害するということはできない」と一蹴した。

内在する危険に対して予防を求める権利は認められないということか。あまりにも不可解だ。

控訴審では、耐震設計の目安となる揺れの強さ(基準地震動)の妥当性、すなわち、原発がどれほどの揺れに耐えられるかが、最大の争点とされていた。

元原子力規制委員長代理で地震学者の島崎邦彦東大名誉教授は法廷で「基準地震動は過小評価の可能性があり、大変な欠陥がある」と証言した。

 

高裁逆転判決 敗訴「司法の敗北」 住民、怒りと落胆

http://mainichi.jp/articles/20180705/ddm/041/040/065000c
【毎日新聞・福井・大飯原発】2018年7月5日 東京朝刊

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厳しい表情で記者会見する原告団代表の中嶌哲演さん(中央)=金沢市で2018年7月4日、久保玲撮影

「司法の敗北だ」。関西電力大飯原発3、4号機(福井県おおい町)について、名古屋高裁金沢支部は4日、運転差し止めを認めた福井地裁判決を覆した。原発再稼働の判断を国の原子力規制委員会に「丸投げ」したともいえる内容に、法廷は怒号と落胆の声に包まれた。【塚本恒、日向梓、石川将来、高橋一隆】

「1審被告の敗訴部分を取り消す」。内藤正之裁判長が主文を読み上げると、傍聴席から「その判決、間違っています」と声が上がった。さらに内藤裁判長が判決要旨を読み進め、原発の廃止・禁止について「判断は司法の役割を超え……」と言及すると、法廷内は騒然とした状態に。内藤裁判長が「いろいろな意見があると思うが」と傍聴席に語りかける場面もあった。

住民側は元々、厳しい判決を想定していた。控訴審では地震や火山などの専門家ら10人の証人尋問を申請したが、採用されたのは元原子力規制委員長代理の島崎邦彦・東大名誉教授だけ。反発した住民側は内藤裁判長らの忌避を申し立てたが却下された。

結審後は、審理が不十分として弁論再開を再三、要望したが、退けられ続けた。控訴審判決を前に、島田広弁護団長は「裁判所にやる気が感じられない。もはや裁判とは呼べない」と話していた。

4日の控訴審判決では、安全に対する考え方を巡る、1審判決とのギャップの大きさも住民側を落胆させた。福井地裁は関電の安全対策を「楽観的な見通しのもとに初めて成り立ち得る」と厳しく非難したが、名古屋高裁金沢支部は一転、「原発の危険性は社会通念上無視しうる程度に管理・統制されている」との判断を示した。更に原発の廃止・禁止について「立法府や行政府による政治的な判断に委ねられるべきだ」と言及。敗訴を伝える垂れ幕を掲げた福井県高浜町の原告、東山幸弘さん(71)は「怒りを感じる。司法の役割の放棄だ」と語った。

判決後、弁護団の一人は「最高裁で負ければ、全国の脱原発運動にとって逆風となる」と、上告は難しいとの見方を示した。原告団代表で、「明通寺」住職の中嶌哲演(なかじまてつえん)さん(76)は「ここで(脱原発の)活動を止めてはならない。運動の輪を広めていきたい」と前を向いた。

規制委ノーコメント

原子力規制委員会の更田(ふけた)豊志委員長は4日午後の定例記者会見中に名古屋高裁金沢支部の控訴審判決を知り、記者団から見解を問われたが「見解を申し上げる立場でない」と述べるにとどめた。控訴審判決が取り消した1審判決については「司法判断の中に、技術的に目を向けなければならないものがあればそらすべきではないが、規制委が対処を必要とする内容はないと思う」と述べた。【岡田英】

内藤正之裁判長=代表撮影

参院1票の格差に「違憲状態」

大飯原発3、4号機の運転を認める判決を言い渡した内藤正之裁判長(61)は、神奈川県出身で、民事裁判を主に担当。東京高裁などを経て、2014年10月に名古屋高裁金沢支部の部総括判事に着任した。同年12月からは同支部長を務めている。

1票の格差を巡る訴訟では、16年10月に最大3・08倍だった同年7月の参院選を「違憲状態」と、今年1月には最大1・98倍だった17年10月の衆院選を合憲と判断した。

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大飯原発訴訟 住民の訴え退ける 名古屋高裁金沢支部

https://www3.nhk.or.jp/news/html/20180704/k10011508311000.html
2018年7月4日 18時20分【NHK・各地の原発】

福井県にある大飯原子力発電所3号機と4号機について、住民らが関西電力に運転しないよう求めた裁判で、2審の名古屋高等裁判所金沢支部は、運転しないよう命じた1審の判決を取り消し、住民の訴えを退けました。高裁は、大飯原発の運転再開に当たり原子力規制委員会が行った審査に不合理な点はないという判断を示しました。

大飯原子力発電所3号機と4号機の運転をめぐり住民らが関西電力に対して起こした裁判で、4年前、1審の福井地方裁判所は「地震の揺れの想定が楽観的だ」などとして、運転しないよう命じる判決を言い渡しました。

福島第一原発の事故のあと、原発の運転を認めない司法判断はこれが初めてで、関西電力が控訴し、対象外とされた一部の原告も控訴しました。

4日の2審の判決で、名古屋高等裁判所金沢支部の内藤正之裁判長は、1審の判決を取り消し、住民の訴えを退けました。

判決では、福島第一原発の事故による被害の現状を踏まえ、「国のとるべき道として原子力発電そのものを廃止、禁止することは大いに可能であろうが、その判断は司法の役割を超えるものだ。国民世論として幅広く議論され、それを背景とした政治的な判断に委ねられるべき事柄だ」と指摘しました。

そして、裁判所が原子力発電所の危険の有無を判断する際には重大事故の発生を防ぐ措置がされているかどうか検討すべきだとしたうえで、大飯原発の運転再開に当たり原子力規制委員会が行った審査について「不合理な点は認められず、大飯原発の危険性は社会通念上、無視できる程度にまで管理・統制されている」という判断を示しました。

大飯原発3号機と4号機は去年、原子力規制委員会の審査に合格し、すでに営業運転を始めていて、高裁の判断が注目されていました。

傍聴席からはため息

裁判長が判決の結論にあたる主文を読み上げている時、法廷の傍聴席からは「異議あり」などと声が上がり、裁判長は「お静かに」と述べました。

そして、判決の理由の中で「原子力規制委員会の審査に不合理な点はない」という判断を示すと、傍聴席からは「不当だ」といった大きな声やため息が聞こえました。

原告側「福島の事故を忘れた無責任判決」

判決が言い渡されると、裁判所の前では、原告側の弁護士などが「不当判決」や「司法は福島から目をそむけるのか」と書かれた旗を掲げました。そして、「福島の原発事故から目を背けた判決だ」とか「不当判決許さない」などとシュプレヒコールを上げていました。

弁護団の河合弘之弁護士は「国民を守るということを真摯(しんし)に検討したとは思えず、考えられる中で最悪の判決だ」と話すなど、憤りをあらわにしていました。

判決のあと原告団と弁護団が金沢市内で記者会見を開きました。最高裁判所に上告するかどうかは話し合ったうえで決めたいとしています。

原告団の中嶌哲演代表は「いちるの望みを持っていたが、裁判所としての主体的な判断が何一つ示されず、司法としての使命感が見いだせない。地元の住民として許せない」と批判しました。

原告側の弁護団長を務める島田広弁護士は「敗れたことについてはじくじたる思いだ。福島の事故を完全に忘れ去った無責任な判決で、大飯原発の危険性に対する市民の負担は払拭(ふっしょく)されるどころか、ますます深まった。関西電力と国、福井県に対し直ちに原発の運転を停止するよう求める」と話しました。

関西電力「安全性確保に裁判所の理解」

大飯原発を運転している関西電力は「今回の判決は、大飯原発3、4号機の安全性が確保されていることについて、裁判所に理解していただいた結果だと考えている。当社としては、引き続き安全性や信頼性の向上に努め、今後も立地地域をはじめ、社会の皆様の理解を頂きながら運転を継続してまいります」とコメントしています。

おおい町長「今後も安全安心得られるよう努力を」

大飯原子力発電所3号機と4号機が立地する福井県おおい町の中塚寛町長は「科学的・技術的知見に基づく新たな規制基準が司法にも認められ、安心している。今後も関西電力は安全性や災害対策の向上に取り組み、住民が安全と安心を得られるよう努めてほしい」と話しました。

規制委元委員「地震の揺れ 過小評価のおそれ」

裁判では、大飯原子力発電所3号機と4号機で想定される地震の揺れ=「基準地震動」をめぐって、再稼働の前提となる審査に参加した原子力規制委員会の元委員が証人として招かれ、「過小評価のおそれがある」と訴えました。

証言したのは、原子力規制委員会で地震や津波の想定などの審査を担当し、4年前に退任した島崎邦彦氏です。

島崎元委員は去年4月、裁判所に証人として招かれ、みずからが関わった審査で、基準地震動を求めるために「入倉・三宅式」と呼ばれる計算式を、大飯原発3号機と4号機の評価で使ったことは適切ではなかったと証言しました。

島崎元委員は、「入倉・三宅式」について、地震が起きた後にその規模を算出する場合には有効だが、地震の予測に使うのは適切ではないと指摘しました。

この計算式を使っておととし4月の熊本地震を分析した結果、地震が起きる前のデータでは震源となる断層の正確な面積がわからず、地震の揺れは小さくなったということです。

そのうえで、大飯原発3号機と4号機の基準地震動についても、「『入倉・三宅式』が、西日本に多い、断層面の傾斜が垂直かそれに近い横ずれ断層で使われた場合、過小評価のおそれがある」と訴えていました。

そのため、規制委員会はおととし7月、別の計算式を使って大飯原発3号機4号機の基準地震動を計算し直しましたが、関西電力の想定はおおむね妥当だとして見直す必要はないとしました。

一方、先立って進められていた大飯原発3号機4号機の国の審査で、関西電力は、原子力規制委員会からの指摘を受けて、基準地震動を2回にわたって見直しました。

審査では、原発の周辺で連動する活断層の数を2本から3本に増やし、震源の深さを当初の4キロから3キロに浅くすることを求められました。

その結果、基準地震動は最大700ガルから856ガルに引き上げられ、規制委員会は去年5月、再稼働の前提となる新たな規制基準に合格していると判断しています。

判決「危険性無視できる程度に対策してある」

判決で、裁判所は、まず原発を廃止や禁止すべきかどうかの判断については司法の役割を超えるもので、国民の議論を背景にした政治的な判断に委ねられるべきだと指摘しました。

原発の運転が認められるかどうかは、その危険性を社会通念上無視できる程度にまで対策がとられているかどうかが判断の基準になるとし、国の新規制基準そのものや原子力規制委員会の審査に不合理な点がなければ、具体的危険性はないものと評価できるという枠組みを示しました。

そのうえで、2審で最大の争点となった、施設の耐震性を考えるうえで想定される地震の最大の揺れ「基準地震動」の妥当性については、「最新の科学的知見を踏まえて策定されたもので、新規制基準に適合するとした規制委員会の判断に不合理な点は認められない」と指摘しました。

また、これまでの審理の中で、規制委員会の島崎邦彦元委員が「基準地震動を出した現在の計算式には問題があり、大飯原発の場合過小評価になるおそれがある」と証言した点については、「大飯原発では、詳細な調査を踏まえて震源の断層面積が十分厳しく設定されているため、関西電力が策定した基準地震動が過小であるとはいえない」としました。

このほか、鳥取県の「大山」が噴火した場合に降る火山灰の影響など重大事故への対策も、科学的知見や手法を踏まえて実施されていて、新規制基準に適合するとした規制委員会の判断に不合理な点は認められないとしました。

そして、原発の危険性は社会通念上無視できる程度にまで対策が取られていると結論づけ、運転を認めました。

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