【9/27-28東京新聞】東海第二「適合」の報道

東海第二「適合」決定

「牛置いて逃げられない」

 

http://www.tokyo-np.co.jp/article/ibaraki/list/201809/CK2018092702000163.html
2018年9月27日【東京新聞・茨城】

飼育している牛を見る保田さん=小美玉市で

写真

日本原子力発電の東海第二原発(東海村)が新規制基準に適合していることを、原子力規制委員会が二十六日、正式に決定した。再稼働への道を着々と進む中、東京電力福島第一原発事故で被害を受けた県内の酪農家からは不安の声が上がる。「事故が起きても、牛を置いて逃げられない」と悲愴(ひそう)感すら漂う声も聞かれた。 (越田普之)

県は乳牛の飼育頭数が全国八位で、最も酪農が盛んなのが、原発から三十キロ強に位置する小美玉市だ。市内で約二百頭の牛を飼育する美野里酪農業協同組合青年部長の保田(やすだ)知紀さん(40)は「対策を取っても事故の可能性はなくならない。心配だ」と語る。

福島の事故から約十日後、県内の牛乳から放射性物質が検出され、生乳の廃棄を求められた。餌に放射性物質が付着したことが原因とみられた。福島第一までは百キロ以上。「放射性物質がそんなに飛ぶと知らず、まさかという感じだった」

牛は乳を搾らなければ病気になる。一日に二回、約三千リットルを搾乳しては浄化槽に捨てた。出荷制限が解除されるまでの約三週間、保田さんを含め県内の酪農家約四百二十戸が廃棄した生乳は約八千トンにも上った。

保田さんは「やっていることが無意味に思え、むなしかった。酪農協も暗い雰囲気だった」と振り返る。

当時、福島県相馬市の酪農家が「原発さえなければ」と書き残して自殺した。同業者の悲しみは記憶に刻まれている。

事故の恐怖は過去にも味わった。水戸市の飲食店に勤務していた一九九九年、東海村でJCO臨界事故が起きた。「突然、外に出ないように言われた。あの経験は忘れられない」

一方で、実家に戻り牛を飼育する今、電気を大量に使わなければならない現実がある。夏場は、暑さに弱い牛のため扇風機を二十四時間回す。原発停止後に電気代は一・五倍になり、経営を圧迫する。「再稼働すれば電気代が安くなる」との電力会社のうたい文句は本当だろうか。疑問を抱きつつ、心が揺れる。

首都圏にある東海第二で深刻な事故が起きれば、被害は福島事故を上回るだろう。でも「生き物がいるから、ここを離れられない」。保田さんは牛たちと運命を共にする覚悟でいる。

小美玉市内の別の男性酪農家(41)は「福島の映像を見てショックを受けた。ここも同じようになるリスクがあると思うと、本当に原発が必要なのか疑問だ」と、不信感をにじませた。

 

東海第二「適合」 批判意見認めず 規制委、審査書を決定

http://www.tokyo-np.co.jp/article/national/list/201809/CK2018092702000172.html
2018年9月27日 朝刊【東京新聞・社会】

写真

首都圏唯一の原発である日本原子力発電(原電)の東海第二原発(茨城県東海村)について、原子力規制委員会は26日の定例会合で、新規制基準に適合したとする審査書を正式決定した。国民からの意見募集(パブリックコメント)で、東京電力による原電への資金支援への疑問や、東海第二が東日本大震災で被災したことへの不安が寄せられたが、規制委がそうした声をくみ取ることはなかった。 (越田普之)

東海第二は震災で外部電源を失い、非常用発電機の一部が使えなくなり、残りの発電機でかろうじて原子炉を冷温停止させた。被災原発の新基準適合は初めて。再稼働には、県と東海村や水戸市など三十キロ圏の六市村の同意が必要で、見通しは立っていない。

規制委の会合では、一カ月間実施したパブコメの内容が報告された。集まった約千二百五十件の大半が再稼働に批判的。原電が約千八百億円の対策工事費を工面するため、福島第一原発事故を起こした東電から支援を受けることが特にやり玉に挙がった。

「政府の資金が投入されている東電から支援を受けるのは道理がない」「支援がなければ再稼働できない状態なのに、事故時の賠償や収束費用はどうするのか」。そういった疑問の声に対し、規制委は「資金支援の意向が確認でき、工事費を調達できると判断した」と答えるにとどまった。

「東日本大震災でダメージを受け、再稼働すべきではない」という意見も目立った。規制委は、一部設備で震災による損傷があったことは認めたものの、機能的に問題ないとして不安に応えなかった。

ケーブルの火災対策への関心も高かった。審査書によると、全長千四百キロの約四割だけを燃えにくい素材へ取り換え、残りを防火シートで覆う。パブコメでは「防火シートに、同じ効果があるとは思えない」と批判が集中したが、規制委は「十分な保安水準が確保される」などとした。

津波で「大型船舶が漂流して原子炉建屋や防潮堤に衝突する」との指摘にも、規制委は「基準津波の流速や流向から漂流してくる可能性はない」と一蹴した。

規制委は、パブコメを受け、審査書案の細かな字句修正をするだけだった。これまでもパブコメを重視する意識は薄く、手続きの形骸化が進んでいる。

写真

 

規制委前で「原発いらない」「命守れ」

 市民団体が抗議 8000人分の署名提出も

 

http://www.tokyo-np.co.jp/article/ibaraki/list/201809/CK2018092702000161.html
2018年9月27日【東京新聞・茨城】

原子力規制委が入るビルの前で、東海第二原発などの再稼働に反対する市民グループのメンバー=東京都港区で

写真

「原発はいらない」。東海第二の再稼働に反対する青、黄、オレンジの色とりどりの横断幕やのぼりが風にはためいた。規制委が再稼働へ向けて正式な審査適合を決めた二十六日、市民グループのメンバーらが抗議の声を上げた。

雨上がりのどんよりとした曇り空の下、メンバーら十人以上が議論開始前の午前十時ごろから、規制委の入る東京都港区のビル前に集まった。「東海第二、不合格」「命を守れ」とシュプレヒコールを繰り返した。

「規制委の甘い審査で合格しても、安全とはいえない」などと再稼働を認めないよう求める抗議文と約八千人分の署名を規制委の担当者に提出した。

規制委の議論が終わり、五人の委員が正式適合を了承すると、傍聴席からは「反対です」「原子力推進委員会だ」と次々に怒りの声が上がり、会場は一時騒然とした。

地元にも不安は根強い。再稼働に反対する市民団体「脱原発ネットワーク茨城」共同代表の小川仙月さん(54)は「電力会社が出してきた(再稼働)申請を追認するような規制委の審査のやり方には疑問がある。ここ二カ月の間に大きな水害や地震も起こった。これらも踏まえ審査をやり直すべきだ」と強調した。

東海村の自治会役員の男性(68)は「ハード面の安全性は確認された」としつつも、事故の際に「一人で逃げられない人の移動手段をどうするかなど決まっていない部分は多い」と不安も口にする。再稼働の際に同意を求められる県などに対し「十分に議論し、再稼働の是非を考えてほしい」と訴えた。

 

東海第二再稼働の反対意見書

 常陸大宮市議会も可決

http://www.tokyo-np.co.jp/article/ibaraki/list/201809/CK2018092802000168.html
2018年9月28日【東京新聞・茨城】

 

日本原子力発電(原電)東海第二原発(東海村)を巡り、原発から三十キロ圏の常陸大宮市議会が、住民同意のない再稼働に反対する意見書を賛成多数で可決した。東海第二原発を巡っては、原子力規制委員会が二十六日に新規制基準に適合を出したが、再稼働に反対する意見書は六月に水戸市議会でも可決されている。 (山下葉月)

意見書は大井川和彦知事宛てで、原発の三十キロ圏に九十六万人が住むことに触れた上で「過酷事故が起きた時にスムーズな避難は困難」と指摘。「原子力災害から市民の安全と暮らしを守ることが重要で、三十キロ圏の住民の同意のない再稼働に反対する」としている。可決は二十一日。

市議会に八月、再稼働に反対し廃炉を求める陳情が提出され、総務常任委員会で議論していた。「九十六万人の避難は現実的ではない」「次世代に原発は必要なのか」などの意見を受けて、委員会は陳情を「一部採択」とした上で、「住民同意のない再稼働に反対する」との表現で意見書の提出を決めた。

小森敬太郎委員長は「原発は住民の命に関わる問題。委員会として市民の気持ちを意見書で代弁した」と話した。

再稼働に必要な審査は、最長二十年の運転延長と設備の詳細を定めた工事計画の残り二つ。しかし、県によると、県内の市町村議会から再稼働や運転延長に反対する意見書が相次いで提出されている。

今泉市長(左奥)と面談する「新石岡市を考える市民の会」メンバーら=石岡市役所で
写真

◆市民ら石岡市長と面会 再稼働反対の意思表示求め

日本原子力発電の東海第二原発の再稼働に反対する石岡市の市民グループ「新石岡市を考える市民の会」が二十七日、市役所で今泉文彦市長と面会し、再稼働を認めない意思表示をするよう要望した。今泉市長は「原発の在り方は国と県の政策推移を見守る」として、再稼働の是非には言及しなかった。

県の計画で、東海第二原発で深刻な事故が起きた場合、原発から五十キロ圏の石岡市は、三十キロ圏のひたちなか市民を受け入れることになっている。

市民の会はその計画が再稼働に結び付くとして、八月に計画への協力を拒否するよう市に要望し、回答と面談を求めていた。 (水谷エリナ)

 

96万人の避難、見通せず

 東海第二30キロ圏 計画難航

2018年9月27日【東京新聞・核心】

 

茨城県東海村の東海第二原発が再稼働の条件を整える中で、全国最多の96万人に及ぶ30キロ圏住民の避難計画作りが難航している。地震により原発事故と同時に道路が寸断されれば、高齢者や障害者の救援だけでなく、車で30キロ圏から出ることさえ不可能になる。多数必要となるバスなどの車両や運転手の確保も難しいのが実情だ。 (山下葉月)

広告
カテゴリー: 再稼働 タグ: パーマリンク